<新日本:G1クライマックス>◇6日目◇13日◇東京・後楽園ホール◇観衆2005人

 2008年覇者の後藤洋央紀(30)が、永田裕志(42)を破ってBブロック首位タイを守った。永田の豪快な蹴りにダウンを取られながら、最後は足極めエビ固めで3カウントを奪った。今大会に向けて永田の弟克彦のジムに通って編み出した新技で勝ち点を8に伸ばし、2年ぶりの優勝へ大きく前進した。

 2人の男が、絡み合いながら回り始めた。上から見ると、まるで三角形を描くように、キャンパスの上をゴロリ、ゴロリ。後藤が永田の足を決めたまま、丸め込みの要領で3カウントを奪った。今大会から使っている新技「足極めエビ固め」で、後藤が大きな勝利を手にした。

 起死回生の逆転劇だった。ハイキックでダウンカウントを取られるピンチから、立ち上がって延髄切りを回避。意識もうろうの状態で決めたことが、技を自分のものにした証しだ。実は永田の弟で格闘家の克彦のジムで編み出した技だった。7月の公開練習で原型を披露。克彦から「ローリング(丸め込む)技なので、ちゃんと足をきめればいいんじゃないですか」と忠告され、「頭にひらめいた」。今大会4勝中3勝がこの技での勝利。皮肉にも永田戦でも効果を発揮した。

 ベルトに縁はないが、過去にG1を1回、春のニュージャパン杯を2回優勝と、長丁場の戦いに強い。「こういう大会は気力の勝負。技術じゃない」。大会中はお笑い番組を見たりして、無理にでもテンションを高めている。残る相手は苦手の団体外の外敵、潮崎と小島。「おれは外敵の引き立て役じゃない」。後藤流ポジティブ思考で、心に言い聞かせた。【森本隆】