WBC世界バンタム級王者の山中慎介(30=帝拳)が必殺「コークスクリューパンチ」で負の連鎖を断ち切る。同級7位トマス・ロハス(32=メキシコ)との2度目の防衛戦(11月3日、宮城・ゼビオアリーナ)を前に29日、都内ジムでスパーリングを公開。ジムメートの西岡利晃(36)粟生隆寛(28)を含め、日本人選手は世界戦4連敗中。磨いてきたKO率6割を誇る左の強打で、連敗をストップさせる。

 悪い流れなど関係ない。世界戦に向けた公開スパーリングで、山中は得意の左の強打をパートナーに打ち込んだ。4日には長男豪祐ちゃんも誕生。「元気をもらった。しっかり勝って(妻の実家の沖縄にいる)子供を迎えに行く」と意気込んだ。

 日本ボクシング界に暗雲がたれ込めている。7月にWBA世界スーパーフェザー級王者の内山がバッティングで負傷引き分けに終わると、ジムメートの西岡、粟生を含め、日本人選手は世界戦で4連敗。春には史上最多9人いた世界王者も5人に減った。明らかに流れは良くないが「引きずるわけにはいかない」と負の連鎖を断ち切る決意を口にした。

 秘策がある。もともと西岡、長谷川より上といわれる強烈な左ストレートを持つ。今回はパンチが当たる瞬間に手首を内側にひねり込む「コークスクリューパンチ」を磨いた。漫画「あしたのジョー」で矢吹ジョーと対戦した最強王者ホセ・メンドーサも武器にした必殺パンチ。山中の大和トレーナーも「ミットを持っていても針のようにパンチが突き刺さる」と、その破壊力を証言した。

 挑戦者ロハスは、元WBC世界スーパーフライ級王者の強敵。10年9月には河野公平、昨年2月には名城信男を日本で破っている。親日家の日本人キラーだけに、連敗ストップの相手として不足はない。「チャンスがあれば、中盤でKOを狙う」。日本人世界王者の実力を見せる。【田口潤】