<究極戦士たち(7)>

 肉体がファイトを欲する限り現役を続ける-。3月3日の「UFC

 JAPAN

 2013」(さいたまスーパーアリーナ)にメーンで登場する旧PRIDEミドル級王者ヴァンダレイ・シウバ(36=ブラジル)は6年半ぶりの日本凱旋(がいせん)マッチで再び存在感を示す覚悟だ。「オレは体の続く限り、試合をしたいんだ。他の仕事をやる自分なんてまったくイメージできないんだ」。

 最近2年間の4試合は2勝2敗。UFCデイナ・ホワイト社長(43)に「そろそろ(現役引退の)潮時かな」と通告された時期もあった。年齢、故障の影響で、現実的にも、これが日本で試合をする最後の機会になるかもしれない-。そんな周囲の見方を一蹴した。

 シウバ

 日本で最後の試合?

 ノー、ノー。特にそうは思っていない。体の状態は良いし、元気なうちは試合を続けるつもりだ。来年もUFC日本大会があれば、ぜひ出たいよ。

 対戦するブライアン・スタン(32=米国)はWEC、UFC通じての通算11勝のうち、8KO勝ち。殴り合い好きのシウバは自ら壮絶な打撃戦を予想する。「ベストマッチだと思っているのさ。相手は立って戦うのが好きな選手。どちらかが倒れるKO決着になるんじゃないかな。まあ倒れるのはオレじゃないけどね」と自信に満ちあふれた表情。どちらかが倒れるまで殴り合う。厳しい激突が繰り広げられそうだ。

 PRIDEでは戦慄(せんりつ)のひざ小僧と呼ばれたシウバだが、UFCでは「ジ・アックス・マーダラー(おののごとき殺人鬼)」との愛称で親しまれている。人気選手として2つの世界的な団体を渡り歩いてきた自負がある。「PRIDEは自分の人生の中で多くの最高の瞬間を過ごした舞台だった。今のUFCは新たな最高の瞬間を味わう舞台になる」。06年9月のPRIDE無差別級GP準決勝以来のさいたまスーパーアリーナで、シウバは再び輝きを取り戻す。【藤中栄二】

 ◆ヴァンダレイ・シウバ

 1976年7月3日、ブラジル・パラナ州クリチバ生まれ。13歳でブラジルのシュート・ボクセ・アカデミーに入門し、格闘技を始める。96年11月、総合格闘家としてデビュー。99年9月、PRIDE7で初参戦。以後、04年までPRIDEで負け知らずで「絶対王者」と呼ばれた。01年3月、桜庭和志にTKO勝ちし、一気にスター選手へ。同9月桜庭との再戦を制し、初代PRIDEミドル級王者に。03年にはミドル級GPも制した。07年UFCと契約し、ブラジルから米国に移住。180センチ、93キロ。