大相撲の人気力士、東前頭12枚目の遠藤(24=追手風)が3日、左膝痛を再発させた。三重・鈴鹿市の稽古場に姿を見せたが、先月29日の番付発表後の稽古では初めて相撲を取らなかった。師匠の追手風親方(元前頭大翔山)は軽症を強調も、名古屋場所(12日初日、愛知県体育館)へ向けた調整に狂いが生じた。

 順調に稽古を重ねていた遠藤が、名古屋場所まで残り10日を切ったところでひと休みだ。部屋の若い衆らが申し合い稽古を続ける土俵に、加わることはなかった。ぶつかり稽古で、後輩に胸を出すこともない。器具を使った運動や四股などで軽く汗を流しただけ。終了すると、無表情のまま無言で宿舎へ引き揚げた。

 追手風親方によると2日の稽古後に春場所で負傷した左膝に痛みが生じ、この日は遠藤から「相撲は取りません」と伝えてきたという。「痛みがちょっとね。違和感があるみたい。痛い時は危険信号だから、無理しちゃいけない」と同親方。続けて「たいしたことはない。大丈夫。病院にも行かない」と軽症を強調。アイシングなどトレーナーの処置で回復を図る予定だ。

 遠藤は春場所5日目の松鳳山戦で、前十字靱帯(じんたい)と半月板を損傷。手術する可能性もあった中、懸命な治療とリハビリで回避した。初日の5日前に出場を決めた夏場所では6連敗発進も、巻き返して6勝を挙げ十両陥落の危機を逃れた。その夏場所前と比べ、連日申し合い稽古ができていた今回は復調ぶりも明らかだっただけに、痛みの再発で調整に狂いが生じたことは否めない。

 秋場所までの完全回復を見込んでいた師匠もこの日は「今年中にどうにか治ればいい」とトーンダウン。仮に名古屋場所までに痛みが治まっても、万全の状態では臨めそうもない。遠藤にとって、厳しい戦いが続きそうだ。【木村有三】