大相撲名古屋場所で初の賜杯を抱いた西前頭2枚目逸ノ城(29=湊)が、優勝を弾みに大関とりを目指すと宣言した。千秋楽から一夜明けた25日、報道陣の取材に応じ「昨日はほっとして、ゆっくり寝れました。優勝したことをきっかけに三役、大関を目指していきたい」と力強く宣言した。

昨夜にはモンゴルいる家族や、相撲留学を受け入れてくれた鳥取城北高相撲部・石浦外喜義監督に電話で報告。母から「よく頑張った」と言われた時、優勝の実感がより一層湧いてきたという。2010年に飛行機で日本に一緒に来た横綱照ノ富士との優勝争いができたことについては「今まで何回か優勝争いしたことはあるが、横綱照ノ富士関とは初めて。一緒に来た仲間として本当によかったと思います」と言葉があふれた。

モンゴルの先輩、元横綱鶴竜親方と元横綱白鵬の間垣親方にも、「おめでとう」「良かったね」とお祝いの言葉をもらった。「自分がモンゴルにいた時からテレビで見て、その人たちに憧れて日本に来たので」と尊敬する2人から激励を受けて喜んだ。

特に鶴竜親方には巡業でよく胸を出してもらい、厳しい指導を受けたこともしばしばあった。その経験が今場所にも生かされた。「まわしを取りに来た時のこととか、よく巡業中にそれを中心に教えてもらって。今場所の相撲も何番かあったので、今回の優勝で(期待に)応えることができたかな」と振り返った。

新入幕から所要47場所での初優勝は史上9位のスロー記録。「長かったなという感じです」というが、決して無駄なことはなかった。ヘルニア発症など度重なる怪我、理想の体重を追い求めたダイエット、自分の相撲のスタイルを確立させる…。「いろんなことを経験しながら、やってきた。それがやっと名古屋場所で優勝までいった」と感慨深そうに言った。

12勝3敗で終えた今場所で自分の相撲に確固たる自信を得た。「自分の圧力から前に踏み込み、まわしを取る。そういう相撲が取れた(大関に)いけると思う」。しばしの休息を得え再び歩き出す時には、さらに成長した姿を土俵で見せるはずだ。