[ 2014年6月1日7時12分

 紙面から ]

 日本代表DF長友佑都(27=インテルミラノ)が5月30日(日本時間同31日)、W杯1次リーグで対戦する難敵に対し「サイドで攻め勝つ」と断言した。10年W杯南アフリカ大会では初戦のカメルーン戦で対面したFWエトーを抑え勝利に貢献。今大会で対面するコートジボワールFWジェルビーニョ、コロンビアMFクアドラードら世界屈指のサイドアタッカーには、攻撃力で圧倒する。

 名門インテルミラノで主将まで務めた男の風格が漂っていた。W杯1次リーグ突破の鍵となるサイドの攻防-。ただ、長友はそんな重責を背負うにもかかわらず、「相手は僕が攻め上がったら、ついてこられないと思う。今の僕が嫌だと思いますよ」と悠然と答えた。

 10年南アフリカ大会から4年。自分の成長を実感しているからこその言葉だ。南アフリカ大会初戦のカメルーン戦でFWエトーと対面し、完封して勝利に貢献。だが「南アフリカでは僕は守備で相手を止めることを考えていた。今は違う」と言う。

 長友

 今回は相手が僕(の攻撃参加)を止めないといけない。僕が攻め上がることで、相手(のサイド攻撃)も封じられる。ザッケローニ監督からも直接話した時に「前に行け」ということを言われているので、そこで貢献したい。

 イタリアへ渡り、インテルミラノで不動の立場を確立。昨季はマッツァーリ監督のもと中盤のサイドを務め、攻撃力に磨きをかけた。セリエAでもコートジボワールFWジェルビーニョ、コロンビアMFクアドラードらと対面し、完全に抑えきった。2人との対戦で「守備ができる選手ではない」と分析。攻撃が最大の防御になると確信した。

 「今までの僕はアスリート的な要素が強かったけど、それだけでは世界に通用しない。ボールタッチとかドリブルの柔らかさを追求するうちに、間合いをつかめたし、ボールが足元から離れなくなった」。以前は苦手と感じていたドリブルに加え、左からのクロスも日々の練習と実戦の積み重ねで「武器」にできた。

 昨季開幕後、自分の攻撃参加に対して相手のマークが1人から2人に増えた。対面する相手のサイドバックが長友との駆け引きによる疲労で後半に交代させられる場面を見て「27歳でも技術的に成長できている」と手応えをつかんだ。

 「僕はまだ80%の状態。初戦のコートジボワール戦で100%に持っていく。ブラジルの高温多湿な気候?

 最悪の環境の方が僕には有利です」。長友がサイドを制圧した時、ザックジャパンの決勝トーナメント進出が見えてくる。【菅家大輔】

 ◆長友マッチアップ選手メモ

 長友は今季、主に左MFとして積極的に攻撃に参加。その結果、マッチアップする選手が交代に追い込まれるケースも多い。3連覇を果たしたユベントスとの2試合では、2戦ともに相手の右DF、スイス代表リヒトシュタイナーが途中交代。今年2月15日のフィオレンティナ戦ではW杯で対戦するコロンビア代表の右MFクアドラードとの争いを制し、交代に追い込んだ。今季は全38戦中じつに16試合で長友のマッチアップ相手が途中交代しており、その間9勝4敗3分けとチームも好成績を残した。