SKE48とSNH48を兼任する宮沢佐江(25)が卒業コンサートを開催した。2年前に移籍したSKE48の地元名古屋で花道を飾った。31日にSKE48劇場で卒業公演を、4月1日にはAKB48劇場で「旧チームK10周年記念公演」を行い、アイドルを卒業する。

 宮沢が、いかに仲間たちに慕われていたか。よく分かるラストシーンだった。送り出すために花道に並んだSKE48の63人の後輩たちが、全員泣きじゃくった。2年前にAKB48から移籍してきた“外様メンバー”の卒業とは思えない光景。宮沢は1人ずつ抱きしめて言葉をかけると、涙が止まった。リーダー、先輩としての姉のまなざしに変わり、逆に励ましていた。

 「SKEのみんな、かけがえのない宝物の時間をありがとう!!」。笑顔で感謝すると、音頭を取る松井珠理奈とメンバー、ファン全員から「佐江ちゃん、SKEに来てくれて、本当にありがとう~!!」とお礼を言われた。移籍して最も言われたかった言葉に、さすがに再び涙腺が崩壊した。それでも笑顔は変えず「みんな愛してるよ~」。そう言い残して舞台を去った。

 明るく元気な宮沢らしい、ハツラツとしたライブだった。1曲目は持ち歌の「奇跡は間に合わない」。抜群の歌唱力を、ボーイッシュな性格に合う宝塚歌劇団風のパンツ衣装で披露した。AKBとSKEの思い出の曲を惜しみなく歌った。

 ラスト曲は、10年前の、所属先チームK初のオリジナル公演「青春ガールズ」の楽曲「約束よ」。「10年前にスタッフに『舞台で涙は流すな』と教えられていたんです。でも、初めて劇場が満員になった日の公演で、お客さんとの絆を感じて、この歌で泣いたんです」。以来、この歌詞と明るい曲調が「ゲンキングと呼ばれてきた私にはピッタリ」と思っていた。

 湿っぽい別れはゴメンだ。握手会で聴覚障がい者のファンと会話するために覚えた手話で歌った「掌」や、8000人の観客が会場に広げてくれた、ひまわりの黄色と青空のサイリウムの光景には、思わず涙したが、それでも「ボタンを押したら涙が出てくるって演出だから」と照れ隠しした。「悔いも悲しみもない。10年かかってそう言えます」。完全燃焼の笑顔だった。【瀬津真也】

 <宮沢佐江の歴史>

 ◆レジェンドメンバー 大島優子らとAKB482期生として06年4月1日のチームK発足時にデビュー。

 ◆ツインタワー 卒業生の秋元才加とコンビ名をつけられ、AKB48の看板メンバーとして活躍。

 ◆DIVA 秋元らと4人で、AKB屈指のダンス&ボーカルユニットを結成し、11~14年に活動。

 ◆AKB48選抜総選挙 第1回から昨年の第7回まで全てで16位以上の選抜メンバーに入り続ける。昨年は自己最高8位。

 ◆SNH48 12年に自らの希望で、AKB48から中国・上海に発足するSNH48に移籍。長期労働ビザが下りず、デビュー前のメンバーの教育係や短期スポット出演で活動。

 ◆ミュージカル女優 地球ゴージャスの「クザリアーナの翼」など多数に出演。8月には帝国劇場で新妻聖子とダブルキャストの「王家の紋章」に主演予定。