山田洋次監督(78)最新作「おとうと」(30日公開)が、ベルリン映画祭(2月11日開幕)のクロージング(最終上映)作品に選ばれたことが19日、分かった。毎年、映画祭の最後を飾る話題作、期待作が選ばれる。60回の記念回で注目度が高く、同映画祭事務局がが記録を取り始めて以来、日本作品がクロージング上映されるのは初。英語題は「About

 Her

 Brother」で、現地時間2月20日の最終日に上映される。

 山田監督は年末からの疲れがたまり17、18日のイベントを欠席して休養中だが、配給の松竹を通じ「日本映画がクロージング・フィルムに選ばれるのは大変珍しいと聞いています。とても名誉に思っています」とコメントした。同監督、吉永、鶴瓶が現地入りするかは未定という。

 山田作品は、同映画祭でこれまで「ダウンタウンヒーローズ」「たそがれ清兵衛」「隠し剣

 鬼の爪」「母べえ」がコンペティション部門で、他部門で「学校」「武士の一分」が上映された。新作への期待、作品への信頼から選ばれた。

 ベルリン映画祭と「おとうと」とは縁がある。08年2月「母べえ」上映でベルリンにいた山田監督と吉永のもとに、市川崑監督の訃報(ふほう)が届いた。2人が好きな市川作品が「おとうと」(60年)で、思い出を語り合った。市川版の姉弟が大人になったら…という構想を持っていた山田監督は、帰国直後に吉永と笑福亭鶴瓶にオファーした。「おとうと」は、スタートした場所に帰ることになる。