KinKi Kids堂本光一(37)が主演するミュージカル「Endless SHOCK」の会見で意外な言葉を聞いた。来年3月31日の東京・帝劇の千秋楽で上演回数1500回を達成するが、リポーターから「将来、後輩とかが主演することは考えられるか」と聞かれた時、光一は「あっても全然いいと思う。まだまだ平気だけれど、限度はあると思う。そうなった時は自分が演出に回ってもいいと思います」と答えた。「SHOCK」は光一にとって、分身のような舞台だ。だから、もし、自分が演じることができなくなっても、演出という立場でいいから、かかわっていたい。光一の「SHOCK」への熱い思いが伝わってくる言葉だった。

 00年から毎年のように帝劇で上演され、同一演目単独主演では森光子さんの「放浪記」2017回に次いで2位、ミュージカルでは1200回以上の松本幸四郎「ラ・マンチャの男」を抜いて1位になっている。初演から見ているが、最初はあれこれ詰め込んだ意欲的な舞台と思ったけれど、完成度は高くなかった。しかし、上演を重ねるうちに余計なものはそぎ落とされ、しっかりと整理されて、洗練された舞台になった。ここ10年はいろいろ新しいことに挑戦しながらも骨格は変わらない、

 森さんの「放浪記」には木賃宿での「でんぐり返し」という名場面があったが、光一にも22段の階段から転げ落ちる「階段落ち」がある。来年の公演中にのべ階段数が3万段を超えるという。名作には語り継がれる名場面が欠かせないが、「階段落ち」がある「SHOCK」は、一種の古典とも言える「王道」の舞台になった。だから毎年見ていても、飽きることはなく、新鮮な発見がある貴重な公演になっている。

 「演出に回ってもいい」という発言の後には続きがある。「自分に言い聞かせているんですけど、『やれるものならやってみろ』というものを作らなくちゃいけないと。後輩でも頼もしい子がいっぱいいるし、自分に言い聞かせないと、今後も続いていけないと思います」と。「やれるものならやってみろ」という言葉の中に、企画・構成・演出のジャニー喜多川さんとともに作り上げてきた舞台への強い愛着と強烈な自負がにじみ出ている。【林尚之】