「ブルースの王様」が逝った。AP通信などによると、米国を代表するブルースギタリスト、B・B・キング氏が14日、ラスベガスの自宅で死去した。89歳だった。今月初めに糖尿病による脱水症状が悪化していた。同氏と公私で親交があった英国人ギタリスト、エリック・クラプトン(70)がフェイスブックに自身の動画を掲載。「我々のお手本だった。心の底から感謝したい」と話した。

 キング氏は今月初め、持病の糖尿病による脱水症状でラスベガスの病院に入院。その後、自宅に戻り、ホスピスケアを受けていた。2日、自身のフェイスブックに「皆さんの祈りに感謝します」と書き込んだのが、最後の更新になった。

 20年以上前から糖尿病を患い、昨年10月にはツアー中に体調を崩し、残りの公演をキャンセルしていた。

 キング氏の音楽に影響を受け、親交が深かったクラプトンはこの日、自身のフェイスブックを更新。死去を受けて話す姿を約1分間撮影し、動画を掲載した。「哀悼の意を表したい。長い間、私を励ましてくれて、友情を築くことができた」。心に響くブルースを数多く奏でてきたキング氏について「B・Bのように純粋なプレーを貫くギタリストが、今は少なくなってしまった」と悲しんだ。

 97年に同氏のアルバム中の1曲「ロック・ミー・ベイビー」で初共演。「残された夢の1つは、B・B・キングとフルアルバムを作ることだ」と公言し、00年には2人で収録したフルアルバム「ライディング・ウィズ・ザ・キング」を発売した。このアルバムはグラミー賞の最優秀ブルースアルバム賞に輝いた。クラプトンは「彼は我々のお手本だった。心の底から感謝したい」と話した。

 米南部ミシシッピ州生まれのキング氏は、幼少時の貧しい暮らしの中でギターを手にし、頭角を現した。50年代初めに「スリー・オクロック・ブルース」がR&B全米チャート1位となるなど、60年以上にわたって音楽界の第一線で活動した。ロングトーンから急に絞り込む独特のテクニックで「史上最高のギタリストの1人」と評され、クラプトンら多くの有名ギタリストに影響を与えた。

 ザ・ビートルズのドラマーだったリンゴ・スター(74)は、自身のフェイスブックに「キング氏が安らかに眠ることを祈ります」と書き込んだ。

 ◆B・B・キング 本名ライリー・B・キング。1925年9月16日、米ミシシッピ州生まれ。22歳で黒人音楽の中心地だったテネシー州メンフィスに移る。「ブルース・ボーイ(Blues Boy)」と呼ばれたことから、「B・B・キング」の芸名に。「ルシール」と名付けたギブソンのギターがトレードマーク。全世界でアルバムなどを4000万枚以上も売り上げた。通算ライブ8000回以上は、世界最多とされる。グラミー賞15回、06年には米大統領自由勲章を受章。ロックの殿堂やブルースの殿堂入りも果たした。