12日に死去した大橋巨泉さんが司会を務めた各番組の出演者たちから、悼む声が続々と上がった。巨泉さんは、共演者の魅力を引き出し、それぞれをお茶の間の人気者に押し上げた。出演者たちは司会者としての天才的な手腕に驚き、人間的な魅力にひかれていた。

 日本テレビ系「11PM」でアシスタントを務めた朝丘雪路(80)は「(夫の津川)雅彦さんにも作らないお弁当を作って持って行っていたぐらいに仲良しだったから、思いはひとしおです」と振り返った。番組冒頭の2人の掛け合いは人気だった。

 TBS系「クイズダービー」では、巨泉さんが出演者との軽妙な掛け合いで魅力を引き出した。番組開始から出演した五月みどり(76)は、当時歌手として活動していたが、巨泉さんにバラエティーの要素を引き出された。数年前、五月が住む神奈川・湯河原に、巨泉さんが妻寿々子さんらと湯治に訪れた時に食事をしたのが最後。「ご病気と闘いながら、大変だったと思う。ゆっくり休んでください」とコメントした。

 クイズ番組の出演経験がなかった長山藍子(75)は「心遣いや差配がクレバーな方で楽しい2年間でした。解答者がスタンバイしている時、社会問題をパパッとしゃべってくれるのを聞くのが楽しかったです」。11年間出演した学習院大名誉教授の篠沢秀夫氏(83)は「私の余分なおしゃべりが観客の反響を呼び起こしたのを見ると、以後、私の余分なしゃべりを大事にしてくれた。巨泉さんは大物で真の天才です」と柔軟さをたたえた。

 17年間出演した竹下景子(62)は「出演者にニックネームを付けるのが上手で、私は『三択の女王』、黒鉄ヒロシさんは『裏切りたぬき』、はらたいらさんは『宇宙人』。与えられたキャラクターを楽しく懸命につとめました。采配と時間の読みは天才でした」。

 同番組ではビートたけし(69)の兄で淑徳大人文学部の北野大教授(74)が「同業者には辛辣(しんらつ)なことを言う一方、視聴者には極めて優しかった」、宮崎美子(57)は「デビュー当時から一昨年の80歳のお祝いパーティーまで私には変わらずいつも笑顔で接してくださいました。本当に寂しいです」。

 巨泉さんがセミリタイア直前まで出演したTBS系「世界まるごとHOWマッチ」に出演し、「兵ちゃん」と呼ばれた石坂浩二(75)は「無念の思いでいっぱいです。ヨーロッパの美術館めぐりをもう1度とおっしゃっていただいていたのに、行かれなくなってしまいました。たくさんの巨泉さんの姿と言葉を忘れず、思い起こしては自分の励みにしていきたい」と感謝した。