「東京物語」などで知られる巨匠小津安二郎監督が戦前に手掛け、完全な形では残っていない無声の短編喜劇映画「突貫小僧」の欠落シーンの一部が、家庭向け短縮版フィルムの形で残っていたことが6日、分かった。京都府で10月13日から開かれる京都国際映画祭で初上映される。

 発見したのは、古い家庭用映画フィルムなどを収集、展示する京都市の「おもちゃ映画ミュージアム」代表の太田米男さん(67)。太田さんによると、家庭向け映写機用に短く編集された9・5ミリのフィルムで、新発見部分は、通常の再生速度に換算すると数分程度という。

 昨春、九州の男性から寄贈を受けて調査した結果、タイトルシーンが既存のフィルムと異なるほか、これまで未発見だった、路地で子どもたちがかくれんぼをして遊ぶ冒頭の場面が含まれていることが確認された。

 完全版は1929年に公開され、38分。既存のフィルムは再編集された14分のものだった。

 映画祭は2014年に京都映画祭の後継企画として始まり、今年で3回目。中島貞夫監督が名誉実行委員長を務めている。