来年1月24日に任期満了を迎えるNHKの籾井勝人会長の再任が極めて困難な情勢であることが2日、関係者の話で分かった。会長の任命権を持つ経営委員会内で、籾井会長の手腕を疑問視する声が相次ぎ、全委員12人のうち、任命に当たって放送法が定めた9人以上の同意を得られない見通しとなったため。

 籾井会長は1日の定例記者会見で、再任について「話があった時点で考える。今は何も考えていない」と述べていた。経営委は6日に次期会長の指名部会を開き、籾井会長のほか、各経営委員が推薦する会長候補を選考。年内にも新会長を決める運びだ。

 2014年1月に就任した籾井会長は、「政府が右というものを左というわけにはいかない」などの言動が批判を浴びた。国会でも追及され、NHK予算は3年連続で全会一致の承認を得られない異例の事態となった。

 経営委は10月、「政治的中立」など次期会長の選考基準となる5項目の資格要件を発表。ある経営委員は「籾井さんでは組織が持たない」と指摘していた。

 籾井会長ら執行部は今年11月、来秋から受信料を月額50円程度値下げする方針を示したが、経営委の反対で見送りになった。別の経営委員は「何度議論しても話が合わない。無責任だ」と話していた。

 籾井会長は三井物産出身で、日本ユニシス社長などを歴任。松本正之前NHK会長の後任として選出され、就任会見で従軍慰安婦問題について「どこの国にもあった」などと発言し問題に。その後も、私用のゴルフで乗車したハイヤー代金をNHKに請求するなどして、経営委から注意を受けた。