上方落語家の6代桂文枝(73)が2日、大阪市内で“はなし家50歳”を迎え、自伝出版計画を明かした。

 「本を書きたいと思うてね。自伝みたいなものを。50年の節目、いろいろやりたいことのうちのひとつが本の出版ですね」

 文枝は来年3月4日に大阪・なんばグランド花月で「芸能生活50周年記念 半世紀落語会」を開き、271本目となる創作「大・大阪辞典」と、師匠の5代目文枝から約47年前に習った「愛宕山」をネタ下ろしし、三枝時代の「背なで老いてる唐獅子牡丹」の3席を演じる。

 竹に上る様子などアクションも多い古典の「愛宕山」に備え、春風亭小朝から教えられ、パントマイムの勉強も始めたという。好奇心は衰え知らずだ。

 文枝は関大4年だった66年8月に5代目文枝に入門を願い出た。「あったかい時期から入ったら怠けてしまう」として、同12月1日に入門。前日1日に、ちょうど師事して50年を迎え「いろいろあったけど、あっという間でもあり、幸いにも元気なのが何よりです」と語った。

 今年も新作13本を送り出し、目標の「300本」まで残り29本となった。「興味が尽きないんですね、映画も本も。体が元気なんで、頭も動くんですね」。先日、人間ドックを行ったが不調な箇所は見つからなかった。入門3年目から出演し、来年1月の放送で47年に入るライフワークのテレビ朝日系「新婚さんいらっしゃい!」についても「前はこけるんが厳しなるかと思うてたけど、今は起き上がる方が大変。すっと起き上がれるように練習して、まだまだ起き上がれます」と話す。

 「こけられへんようになったら、テレビから退く」と話したのは、20年近く前。あれからまだまだ、テレビでの活動継続へ手応えを感じているようだ。

 来年3月の50周年高座には、ゲストに桂歌丸(80)を招くことも決まった。「何でか知らんけど、向こうの協会の会長も、副会長も年下になってね」と笑いながら「まだまだ教わることがたくさんあるので、ぜひとも年長の方に来ていただきたかった」と説明した。

 05年3月に師匠の5代目文枝は亡くなっており、戦後の上方落語を復興させた四天王も全員が鬼籍に入っている。

 名実ともに上方の看板となり、後輩たちに「チャレンジして、頑張ってるんです。でも、我々がラジオ、テレビにうまく乗せられて出てきた時代とは違う。でも、あきらめなければ必ず道は開ける」とメッセージを送った。