2016年も、あと残りわずか。今年ブレークしたのが、“バブリー女”キャラでテレビに引っ張りだこのお笑い芸人、平野ノラ(38)。肩パッド入りの真っ赤なド派手ボディコンスーツにソバージュヘア、太眉に真っ赤な唇、そして片手にドデカイ携帯電話…という平野に、「バブル」についてじっくりインタビューした。

 「OK、バブリー!」「ぶっとびー!」とバブル用語? を駆使してブレーク中のノラ。荻野目洋子(48)の曲「六本木純情派」のメロディーに乗りながら、50音の1文字を示されるとバブル女が言いそうなセリフをシャウトする。

 「返してよ、バースのホームランボール、返してよ」

 思えば1980年代後半から90年代初めにかけてのバブル期。まだJリーグは誕生していなかった。スポーツといえば野球だった。

 「よっ、5時から男」

 昭和の終わり、88年に流行語大賞を受賞した元祖軽薄男・高田純次(69)が出演したドリンク「グロンサン」CMが元ネタ。

 「そこのしょうゆ顔、VIPルームにありったけの鉄骨飲料、持ってきて!」 バブル時代は肌の色が浅黒く顔がスッキリしたしょうゆ顔が人気。クラブではなくディスコのVIPルームをお金持ちがキープ。女子は鷲尾いさ子(49)がCMで“鉄骨ダンス”を踊ったドリンク「鉄骨飲料」をグイッと飲み干していた。

 40代後半以上の世代には懐かしすぎる、平野のネタ。とはいえ平野自身、バブル期は小学生から中学生にかけてだったはず。「元々、昭和の古い女ネタをやってたんですが広すぎて。もうちょっと分かりやすくしたいと。最初はコギャルとかアムラーとか思いついたんですが、30歳をすぎて制服着てやるのは痛い(笑い)。どうしたもんかなと行き着いたのがバブル」。

 バブル女の芸風が固まったのが2年前。そこからジワジワと浸透してきた。50音バブルのネタも自分で作り上げた。「子供の頃に見てたのを思い出したり、死語辞典を読んだり、インターネット。何かをモデルにしたりじゃなく、自分の好きなように言いたいことを言って、なりきってるだけ。あと63歳になるうちの父親がバブルでしたね。建築会社やって土地転がし、仕事をバリバリやって、思いっきり遊んでました」。

 31歳でお笑い養成所、ワタナベコメディスクールに入所した。「高校生ぐらいから、周りに面白いと言われていて芸人志望。24歳の時に1度、挫折してやめた。OLやってたりしてたんですけど、当時おつきあいしていた方と31歳の時に結婚の話が出た。結婚したら芸人になれなくなる。それで別れてスクールに」。結婚より夢、恋愛より芸人。女31歳の決断だった。

 38歳の今、売れっ子になった。この人気も“バブル”にしてはいけない。「もうちょっと、このキャラを皆さんに楽しんでもらいたい。来年もバブリーな感じで笑いと元気を届けられたらいい。今は結婚のことは考えてない。仕事が第一」。

 膨らむまで時間がかかった。だから、簡単にははじけない、はじけられないバブルだ。【小谷野俊哉】

 ◆平野(ひらの)ノラ 1978年(昭53)10月20日、東京生まれ。高校卒業後、お笑い芸人を志すも挫折してOLなどを経験。31歳でワタナベコメディスクール入学、在学中の10年12月にデビュー。日本テレビ系「芸人報道」「ナカイの窓」、フジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」「めちゃ×2イケてるッ!」などで注目を集める。趣味はバブリーダンス、絵画、自己啓発。