清水氏は同11時46分の段階で「まだ大丈夫です」と余裕を見せていたが、深夜0時を過ぎても2話の序盤3ページの台本が出来上がらない。スタジオ内のプリンターで台本を刷り、その場で声優陣に渡す流れになっていたが、プリンターが動く気配もない。高山が「3ページを今、チェックするんでしょ?」と苦笑すれば、徳井も「清水さん、厳しい顔」と突っ込んだ。さらに足立が「プリンターが動かないなぁ」と言った深夜0時3分に、2話序盤3ページの台本が完成。同0時17分に、声優陣による2話序盤の実演が始まり同25分に終了した。

 放送時間が残り35分になった段階で、再びフリートークが始まり、声優陣は2話の後編に向けた投稿のネタをもみ始めたが、当初は深夜0時半の段階で後半部の台本が出来ていたら…という話になっていたという。完全にスケジュールが押している状況も、とにかく、いいアイデアとネタが出ない。清水氏は「今、頑張ってます…」と答えたものの口数が少なくなり、松井EPの表情にも焦りの色が浮かぶ…この日、最大の難局、ヤマ場だった。

 結局、2話後半の台本が完成したのは、放送終了18分前の深夜0時42分だった。清水氏は「最後の方は…ちょっと覚えていない」と疲労感をにじませた。声優陣の手元に台本が届き、実演が始まったのは深夜0時48分。終わったのは同56分30秒…放送終了3分30秒前だった。

 放送終了後、足立と徳井に話を聞いた。

 徳井 めちゃめちゃドタバタだったんですけども…(特番より尺が倍増の)2時間なので、ちょっとは余裕があるのかなと思ったんですけど全然なくて(苦笑い)ゲストに来てくださった声優さんも皆さん、本当に豪華なのとアドリブ力で、楽しい2時間でした。

 足立 私はナレーションだけしか担当していないんですけど、皆さんの温かい心で最後までやり遂げられました。MCの部分でも、皆さんに引っ張っていただくことが多くて、私なんかでいいのかなと思いながら…めっちゃ、ぜいたくじゃないですか! 私くらいですよ、こんな間近で声優さんのすごさを見られるのって!! 皆さんはラジオを通して聴いていらっしゃいますけど、私は目の前で繰り広げられていて。あらためて声優さんの力ってすごいんだなと、この番組で実感して、さらに声優さんが好きになりました。パッと思い浮かんで演技できちゃうのは、さすがですね。

 徳井 来月以降、来てくださる(ゲストの)方が変われば、雰囲気も、私たちの芝居も変わってくると思う。とても楽しみです。

 声優が声でキャラクターに命を吹き込む瞬間を、生で聴くことが出来る機会は希少だ。秒、分単位で脚本を作り、効果音をつける制作陣も、またプロでなければ、ラジオというマスメディアで、しかも即興で全国に届けることは不可能だろう。声と音が紡ぎ出す、匠(たくみ)の技を月1回、堪能してみては、いかがだろうか?【村上幸将】