世界的な指揮者で、米名門オーケストラのニューヨーク・フィルハーモニックを率いて北朝鮮の平壌で公演した巨匠ロリン・マゼール氏が13日、肺炎の合併症のため、米南部バージニア州の自宅で死去した。84歳だった。マゼール氏の団体が同日発表した。

 1930年、フランス生まれの米国人。5歳でバイオリン、7歳で指揮のレッスンを始め才能を発揮。ウィーン国立歌劇場総監督など各国のオーケストラで要職を務め、2002年にニューヨーク・フィルの音楽監督。08年に米朝初の本格的文化交流として、同フィルの平壌公演を挙行、米朝両国歌や朝鮮民謡「アリラン」を演奏した。

 88年にはロンドンで、世界初のベートーベン交響曲9曲全曲の連続演奏を達成、話題を呼んだ。

 来日公演も多く、95年には阪神大震災の被災者を励まそうと、ピッツバーグ交響楽団を率いて神戸市で慈善コンサートを開いた。今年7~8月の国際教育音楽祭「PMF」(札幌市など)に参加予定だったが、健康上の理由で取りやめていた。