カナダで開催されていたトロント映画祭が15日(日本時間16日)閉幕し、園子温監督の「地獄でなぜ悪い」(28日公開)が、ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞した。園監督は「こんな賞が欲しかった。この映画は、こういう賞を求めてた。この映画がジャンプして喜んでいる姿が目に浮かぶ」と喜びのコメントを発表した。

 また最高賞に当たる長編部門の観客賞は、英国のスティーブ・マックイーン監督がメガホンを取り、ブラッド・ピット、ベネディクト・カンバーバッチら豪華出演陣が集結し、米南北戦争時代に奴隷として12年を過ごした黒人男性を描いた米国、英国合作映画「Twelve

 Years

 a

 Slave」が受賞。松本人志監督(50)の「R100」(10月5日公開)は受賞を逃した。

 トロント映画祭は、審査員が作品を審査する賞を争うコンペティション部門がなく、観客が選ぶ観客賞が唯一の賞。ミッドナイト・マッドネス部門は、アクション、ホラー、ショック、ファンタジーに特化した部門で、09年から観客賞が設置された。ほかドキュメンタリー部門にも観客賞がある。邦画では、北野武監督の03年「座頭市」が、長編部門の観客賞を受賞している。

 同映画祭は米アカデミー賞の前哨戦の1つといわれ、長編部門の観客賞受賞作では、10年「英国王のスピーチ」が米アカデミー賞作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞の4部門、12年「世界にひとつのプレイブック」が米アカデミー賞主演女優賞を獲得している。