スタジオジブリ最新作のアニメ映画「思い出のマーニー」(19日公開)のPR会見が15日、大阪市内であり、米林宏昌監督(41)西村義明プロデューサー(36)主役の声優・高月彩良(16)主題歌の歌手プリシラ・アーン(30)が出席した。

 宮崎駿、高畑勲両氏がノータッチの新生ジブリ作品として注目を集める。米林氏は「借りぐらしのアリエッティ」(10年)以来2度目の長編アニメ監督で、西村氏は「かぐや姫の物語」(13年)に続く2度目のプロデューサー。若い2人は“巨匠2人”のいない“風景”を尊敬しているからこその辛口ジョークで説明した。

 米林監督は「アリエッティでは脚本が宮崎さんで、いつも監視されていた。今回はお客さんだけを意識して、作れました」と笑う。

 西村プロデューサーは「ジブリ自体が、宮崎さんと高畑さんのイメージを実現するために作られたところがあるから、スタッフもそれを忠実に守ってきた。今回はスタッフの間でキャッチボールがすごく多かった。これは2人(宮崎、高畑両氏)の時にはないもの。理想的な環境でした」と笑顔で語った。

 それでも、製作過程で宮崎氏の“政治介入”があったとか。米林監督と西村プロデューサーによると、今回の原作を宮崎氏が大好きなので、自分のイメージを作って「こんな絵はどうだ?」と訴えてきたという。

 西村プロデューサーは「あまりひんぱんに来られるものだから、鈴木(敏夫プロデューサー)さんが危惧して『宮崎さんの話を聞く会をやろうか』となった」と言う。米林監督は「その時の宮崎さんは『舞台は瀬戸内で和洋折衷の屋敷があって』と熱心に何度もホワイトボードに描かれて…。でも、その感じがどうしたって『崖の上のポニョ』なんですよ」と苦笑い。最終的にスタッフで話し合い「当初の予定通り、北海道のイメージで行こうと決めた。宮崎さんの話は聞かず、無視しました」。

 2人は大先輩への畏敬の念を漂わせつつも、新しいジブリ作品像を追い求めた作品であることを強調していた。