映画「バンクーバーの朝日」(石井裕也監督)の初日舞台あいさつが20日、東京・有楽町のTOHOシネマズ日劇で行われ、佐藤浩市(54)が演じた役柄を理由に、恨み節をこぼした。

 戦前に実在したカナダの日系2世たちの野球チームの快進撃がテーマの作品。佐藤は「打って、投げて、走る気満々だった」と、試合シーンの撮影に心を躍らせていたというが、役柄は妻夫木聡(34)演じる主人公の父。「脚本を読んでみたら、そんなシーンは1つもなかった」と、肩を落としたことを明かした。

 撮影中は、妻夫木や亀梨和也(28)ら、若手出演陣の熱い芝居に心を打たれた。一方で、自分はほぼ完全に白髪姿の老け役。若者の輪に加われず、寂しさをにじませた。

 「フィールドを見ると、みんな苦労していた。妻夫木さんたちが『もう1回お願いします』と、納得できるまでやっていた。それを見て、『なぜ俺はあそこにいないんだろう。なぜ俺は打って、走れないんだろう』と思った」

 よほど悔しかったのか、もう1度繰り返すと、客席から再び笑いが起きていた。