今年12月公開予定の映画「海難

 1890」(田中光敏監督)の和歌山・串本ロケが23日、公開され、内野聖陽(46)忽那汐里(22)らが取材に応じた。

 1890年(明23)に和歌山・串本沖でオスマン帝国(現トルコ)の軍艦が暴風雨により座礁、500人以上の犠牲者を出したが、地元民の救援活動で69人が命を取り留めた。逆に1985年のイラン・イラク戦争時にはテヘランに残った215人の日本人がトルコに助けられた。映画は日本トルコ友好125周年の今年、遠く離れた両国の絆を示す感動の実話を描く。

 難破した軍艦船員の治療に奔走する医師を演じた内野はトルコ語で「エルハバ!(こんにちは)」と切り出した。「串本には初めて訪れましたが、ごつごつした岩場や、水兵のお墓などを見てこの地で悲しい事件が起こってしまったんだと実感が湧いてきました」という。撮影でも両国の友好を実感している。「トルコ人の俳優たちは連日びしょ濡れになりながら撮影していて、日本のキャストが、カメラが回っていない時にも彼らをさすってあげている。事件の時もこんなことがあったんだろうなと、イメージが湧きます」と話した。

 難破した軍艦の大尉を演じたトルコ人のケナン・エジェ(34)は「まず撮影の前に慰霊碑を訪れました。我々、トルコ人にとっては大変特別なことです。2国間の友好は他国のお手本になる。世界に広めていけるような作品にしたいと思います」と話していた。