松本幸四郎(65)が現在上演回数958回の「勧進帳」1000回記念公演を10月15日に奈良・東大寺の大仏殿前で行うことになり10日、東大寺で会見を行った。「勧進帳」で弁慶ら義経一行は東大寺復興のため寄付を集める山伏の姿に変えていることから、ゆかりの東大寺で公演が決まった。2年後に控えた平城遷都1300年のプレイベント「東大寺奉納大歌舞伎」として上演される。

 東大寺では、過去に谷村新司らのコンサートはあるが、歌舞伎上演は初めて。幸四郎は「1000回目はここ以外の場所はないと思った。本家本元の東大寺でやれるのは奇跡に近いこと。大仏さまにお参りしたら『ご苦労さん』と声をかけられたように感じた」。58年に16歳で初挑戦。祖父7代目幸四郎が1600回以上、父白鸚も数百回演じており「3代で3000回以上になり感無量。半世紀も演じてこられたのは日本が平和だからと感謝します」。富樫は息子の市川染五郎が演じる。

 大仏殿前に特設舞台を作り、開演は午後7時と、ライトアップされた中での上演となる。料金は8000円と6000円で、観客は約5000人を予定。「大仏さまの前は時間的、空間的な広やかさがある。演じる『勧進帳』は大仏さまがまばたきする一瞬の芸かもしれないけれど、お客さまの心に永遠に生きるものをお見せしたい」。30年ぶりの奈良だったが、この日はあいにくの雨。当日は雨天決行荒天中止の予定で「素行を良くして無事に行いたい」と力を込めた。