歌手石井竜也(48)が奈良・薬師寺で重要文化財を移動させる特別待遇を受けて展覧会を開催している。石井はだるまで制作する芸術作品「顔魂」を集めた「石井竜也

 顔魂~KAODAMA~展」を23日から同寺の展示施設・聚寶館(じゅほうかん)で実施。最大で高さ1メートルの作品が60作並ぶため、館内に祭られていた重要文化財の十一面観音菩薩(ぼさつ)立像を一時移動させた。同寺は「国宝の薬師三尊像をお祭りしていたこともある場所ですが、顔魂を拝観者の皆さまに見ていただきたい」と大歓迎。石井は「光栄を通り越して畏敬(いけい)です」と感激している。

 歌手や映画監督、05年「愛知万博」などのイベントプロデュースと多彩な活動の石井は、97年の「空想美術館」以降、4種類の芸術作品展も開催してきた。今年1月には、六本木ヒルズで「顔魂展」を初開催。同寺の安田暎胤管主(70)が「心は顔に、言葉に、動作に出てくる。顔魂は石井さんの心の表れでもある」と感銘を受け、同寺での開催を決定。展示品の移動も問題としなかった。

 石井は昨夏に同寺で初開催されたチャリティーライブに出演。安田管主と意気投合して以来、1328年の歴史を持つ薬師寺とのコラボレーションが続く。今年も30日から、緑化支援、植樹のボランティアを兼ねた「Music

 Tree

 Live」に出演。平原綾香、秋川雅史、財津和夫と共演する。

 米米CLUBのカールスモーキー石井としては、ラブソングと下ネタ、コミック曲を器用に歌い分ける石井が、古来の伝統文化と現代芸能の懸け橋役まで担っている。今回の顔魂展については「1000年以上の建造物の中にまじっても、違和感のない作品展です」。顔魂制作で粘土やヤスリを扱い続けて「痛くてマイク握れないときも」という、指紋の消えた手が、言葉以上に説得力を持っていた。