脚本家の山田太一氏(74)が、来年1月スタートのフジテレビ開局50周年ドラマ「ありふれた奇跡」(木曜午後10時)で12年ぶりに連続ドラマの脚本を手掛けることが21日、分かった。山田氏の連ドラは、97年のTBS系「ふぞろいの林檎たち4」以来になる。主演は仲間由紀恵(28)と加瀬亮(33)。仲間のフジテレビの連ドラ主演は、04年の「東京湾景」以来5年ぶり。加瀬は、連ドラ初出演で主演を射止めた。

 「連続ドラマは、もう書かない」と決心していた山田氏だったが、フジテレビの熱心なアプローチもあり、12年ぶりとなる連ドラの脚本を引き受けた。同局は現在放送中の倉本聡氏(73)脚本の「風のガーデン」が好評。開局50周年記念の連続ドラマとして、大御所脚本家の山田氏に交渉を重ねてきた。木曜午後10時枠は倉本氏から、山田氏へとバトンタッチされることになる。

 フジテレビドラマ制作センターの長部聡介プロデューサーは「昨年、渡辺謙さん主演の『星ひとつの夜』以来、熱望していました。ラブストーリーでもあり、ホームドラマでもあります。仲間由紀恵、加瀬亮という豪華で新鮮な顔合わせの上質なドラマにご期待ください」と話した。

 物語は、一見普通に見える登場人物が、それぞれ心の傷を抱え、秘密を持っているという設定。現代社会に生きる孤独な人間が不器用に交わることで、心を開き希望を見いだしていく物語。山田氏は「私たちは、ありふれているけど、考えれば奇跡と呼ぶしかない人生を生きている。平凡な日々も、突然崩れてしまう。小さなほほ笑みが救いになることもある。それぞれのエゴを生きるばらばらな人たちが、こんな奇跡を生きたという物語です」と語った。

 仲間は「脚本が山田太一先生とうかがい光栄に思います。加瀬さんとの共演も初めてなので大変楽しみにしています」。今まで「それでもボクはやってない」「硫黄島からの手紙」など映画中心に活動してきた加瀬は「山田太一作品に出演できること、とても光栄に思います。連続ドラマは初めてですが、長い時間をかけて役と一緒に成長できれば」とコメントした。ほかに陣内孝則、井川比佐志、風間杜夫、戸田恵子、松重豊、岸部一徳、八千草薫らが出演。