<第12回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 「第12回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の主演女優賞はNHK大河ドラマ「篤姫」で女優宮崎あおい(23)が獲得した。大河ドラマ史上最年少の21歳1カ月での主役の重責を果たしただけでなく、幕末から明治へ、激動の時代を生きた天璋院篤姫の生涯を見事に演じきった。2位にダブルスコア以上の差をつける断トツの受賞だった。

 東京近郊のスタジオでトロフィーを手にした宮崎は喜びを率直に表現した。「本当にうれしい。でも自分がいただいたというより、篤姫のスタッフ、共演者の方々の代表としていただいたんだと思っています」。全50回の平均視聴率は24・5%(関東地区、関西地区は23・1%)。同ドラマの今世紀最高をマークした。読者投票でも全年代を通じて支持はトップで、文句なしの主演女優賞だった。

 薩摩・島津家の分家に生まれながら将軍徳川家定の正室になり、時代に翻弄(ほんろう)されながらも、しっかりと筋を通し生き抜いた篤姫。その12歳から49歳までを演じた宮崎は、撮影の約1年2カ月の日々を「奇跡」という。「本当に奇跡というものがたくさん起こった作品。これから先、あんな素晴らしい経験はできないかもしれない。一生忘れられないと思います」と振り返った。

 撮影前には日舞や茶道の特訓を積んだ。長丁場に加え、重いカツラ、慣れない和服など収録も過酷を極めたが「私、大変だったことは忘れちゃうんです。今は楽しかったことしか思い出せない」。年齢の違いは逆算して表現した。「10代のころはとにかく元気に、と意識しました。でももちろん私のお芝居だけではなく、衣装や細かいメークなど皆さんが計算して作ってくれていたので」。チームワークのよさを強調した。

 高橋英樹、松坂慶子…主役級をそろえた共演陣にも恵まれた。「母上(樋口可南子)はいるだけでみんなが明るくなる。松坂さんが入ってくると現場の空気が柔らかくなる。中島朋子さんがいらっしゃると心が安らぎました。演技の上でも、いろいろなことを学ばせていただいた」と感謝した。

 08年、篤姫効果は全国に波及した。鹿児島県には観光などで262億円の経済効果をもたらし、その年の女の子につける名前では「葵(あおい)」が1位になったと報道された。「私も自分の名前が大好きなので、励まされますし、責任も感じます。私がしっかりしなくちゃ」と笑った。

 収録終了から半年がたち、最近、うれしいことがあったという。「京都のお寺に行った時、近くの学校のブラスバンド部が篤姫の曲を練習しているのが聞こえてきたんです。ああ、こんなところでまた篤姫に会えたって。改めて、みなさんに愛されてもらっていたんだって思えて。本当にうれしかった」。宮崎演じた篤姫が、多くの人びとの心の中に浸透している。【石井康夫】

 ◆宮崎(みやざき)あおい

 1985年(昭60)11月30日、東京都生まれ。4歳でモデル事務所入り。小学5年から本格的に女優デビュー。02年「害虫」で仏ナント3大陸映画祭主演女優賞、日刊スポーツ映画大賞新人賞を受賞。「劔岳

 点の記」(木村大作監督、6月20日公開)など映画、ドラマで主演多数。主演映画「ソラニン」(三木孝浩監督、来年公開)が撮影中。163センチ。血液型O。

 [2009年4月28日16時7分

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