岐阜県の裏金をめぐる日本テレビ系報道番組「真相報道バンキシャ!」の虚偽証言問題で、NHKと民放でつくる放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は30日、番組の取材態勢に問題があったとして、同局に再発防止策を盛り込んだ検証番組を全国で放送するよう勧告した。放送によって県の業務に支障が生じ刑事事件につながった点を重視、07年の発足以来、初の勧告に踏み切った。

 日テレは勧告を受け、検証結果を8月16日の同番組で伝えるとともに、同日深夜に検証特別番組を放送すると発表した。ただ「視聴者の支持を得ている。放送で名誉の回復を図りたい」として番組は今後も続ける方針。

 勧告は、証言の裏付けが十分に行われなかった取材態勢について「幹部と現場スタッフが切り離され、チームとして機能していなかった。責任が空洞化している」と組織構造上の問題を指摘。謝礼の可能性を示してインターネットの募集サイトを利用した点も「安易な情報収集」と批判した。

 川端和治委員長は会見で、取材日が実質3日間しかなかった実態に触れ「限られた態勢、時間では扱えないはずの告発報道を、事前に決めた放送日に合わせてやることに根本的原因があったのではないか」と述べた。また、虚偽証言の判明後に、日テレが番組内で行った訂正放送についても「自分たちが被害者だったと釈明しているようにみえる。誤った個所の明示も、どう訂正するかの言及もない」と述べ、内容の再検討を求めた。

 問題の放送は昨年11月、匿名の男の証言に基づき岐阜県が裏金づくりをしていると報じた。その後、県の調査などで虚偽証言と判明。番組で謝罪し、今年3月に社長が引責辞任した。男は業務妨害罪などで今月、有罪判決を受けた。

 [2009年7月31日8時24分

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