TBS系人気ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」(木曜午後9時)が、10月14日スタートの新シリーズをもって終了することが25日、分かった。関係者によると、90年のスタートから20周年を迎えることや、10シリーズ目という節目もあり、区切りのいいところでの終了が決まったようだ。新シリーズのサブタイトルに「ファイナル」といった趣旨の言葉も付く予定だという。

 日本のホームドラマ史上に残る名作「渡る世間は鬼ばかり」がお茶の間から消える。90年のスタートから家族を1つに結びつけてきた長い歴史に幕を下ろすことになった。

 関係者によると、終了が決まったのは約2週間前。20周年という節目の年となり、新シリーズは10作目で、シリーズ終了までに放送回数が記念の500回を迎えるなど、区切りのいいことが終了する理由だ。サブタイトルに「ファイナル」という趣旨の言葉もつくという。最近、出演者にも終了が伝えられ、みんな寂しそうな顔をしていたという。

 別の関係者も「制作担当者らが『終わり際はきれいにしたい。いいうちに、作品が元気な間に、美しく終わりたい』と話していた」と紹介した。90年の第1シリーズから第9シリーズまでの平均視聴率は約21・3%と、高い数字をキープしてきた。第3シリーズは26・6%と、今の連ドラと比較すると驚異的。新シリーズで、さまざまな節目を迎えるタイミングが「元気なうちに、美しく、きれいに」という思いと重なり、終了への背中を押したようだ。

 第3シリーズまで岡倉大吉の妻節子役で出演していた山岡久乃さんが99年に胆管がんで亡くなった。06年には、大吉を演じていた藤岡琢也さんも慢性腎不全で亡くなった。関係者のショックは大きかった。出演者もスタッフも元気でなければ元気な作品は生まれない。「元気なうちに」には、そんな意味もあるようだ。

 また、同ドラマは08年の前シリーズで終了の可能性もあったという。TBSの木曜午後9時枠が09年からドラマからバラエティーとなったことが要因。68年スタートの「肝っ玉かあさん」、70年「ありがとう」など、木曜の夜はTBSのホームドラマの枠として長い歴史を持つ。視聴者だけでなく、作り手にも強いこだわりがあり、枠の変更は終了を意味するほどだったという。関係者によると、枠をドラマに戻すことでラストシリーズ放送が決定したという。

 [2010年8月26日8時55分

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