顔を殴られて全治6週間の大けがを負った歌舞伎俳優市川海老蔵(32)が血尿も出ていることが2日、関係者への取材で分かった。当初は顔面のけが、全身打撲などの症状が伝えられていたが、内臓も痛めていた。精神的にも落ち込み、反省の言葉も口にしているが、来年1月「初春花形歌舞伎」座頭公演は「やりたい」と意欲を見せている。事件発生から8日目にして、病室でストレッチを開始しており、体調の回復が順調ならば来週中にも退院する。

 海老蔵は11月25日未明の東京・西麻布の飲食店で、逮捕状が出ている元サッカー選手の男(26)に殴る、蹴るの暴行を受け、左ほお陥没骨折に全身打撲で全治6週間の大けがを負った。29日に都内の病院で顔にメスを入れない方法で顔面整復の手術を受けた。現在は、父市川団十郎(64)が事件後の会見で「負けたボクサーのような顔だった」と話していた顔のはれも引いており、ほとんど目立たなくなったという。これまでは流動食だったが、1日からは普通の病院食を口にしている。しかし、左脇腹を蹴られたため腎臓を痛め、血尿が出る状態が続いている。

 入院中の特別病室は、ユニットバスと応接セット付きで25日夜から妻の麻央が泊まり込みで付き添い、看病している。海老蔵は今回の事件について精神的にかなり落ち込んでおり、考え込んだり、ふさぎ込んだ様子をしばしば見せているという。父団十郎には「人間修業が足りない」「高慢とうぬぼれが作った事件」と厳しく叱責(しっせき)された。関係者によると、さすがの海老蔵も今回の事件を悔い、反省の言葉も口にしているという。

 一方で、復帰へ向けての準備も始めている。1月の公演に備え、自宅から持ち込んだヨガ用マットで長引く入院でなまった体のストレッチもしているという。順調に行けば、来週後半にも退院できそうだという。

 この日、フジテレビ系ニュース番組「スーパーニュース」は、事件後の海老蔵の姿を初めてとらえた。病院屋上での様子を撮影したもので、海老蔵は白いニット帽に白いシャツ姿、マスクで顔を覆っていた。同じくピンクのニット帽に白のスエット、マスク姿の麻央が付き添い、しっかりした足取りで歩くシーンが映像で流れた。海老蔵は屋上にあったベンチを両手で持ち上げて日当たりのいい場所に移動。マスクを外して手術した左ほおをなでたり、あぐらをかいて本を読む姿もあった。

 海老蔵は京都・南座「吉例顔見世興行」は休演したが、座頭となる来年1月「初春花形歌舞伎」(東京・銀座のル・テアトル銀座)については「やりたい」と出演に強い意欲を示している。興行を制作する松竹幹部も入院中の海老蔵や主治医と会い、現在のけがの状態、公演への影響などを話し合った。

 現時点では(1)演目変更(2)初日延期(3)公演中止などを選択肢に検討中だ。一方で暴行をめぐり海老蔵の挑発的行為が明らかになり、海老蔵が「先に手を出した」との証言も出てきている。世間を騒がせた社会的責任を重視した場合の「謹慎」処分の可能性を含め、公演開催については週明けに発表する。

 [2010年12月3日14時19分

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