「奥飛騨慕情」で知られる盲目の演歌歌手竜鉄也(りゅう・てつや)さん(本名・田村鉄之助)が28日午前11時13分、くも膜下出血のため、自宅のある岐阜県高山市内の病院で死去した。74歳だった。竜さんは10年前に同出血で倒れ、入院生活を続けていた。最後は美津枝夫人にみとられ、息を引き取った。音楽関係者は「10年間は歌手活動はしていなかった。突然の悲報で驚いています」と話した。

 中学2年の時に、はしかの後遺症で左目の視力を失い、26歳の時に落下物が右目を直撃し、完全に視力を失った。2度の自殺未遂に離婚と絶望の日々だったが、アコーディオンを演奏して歌う演歌師にいきがいを見いだした。73年に作った「奥飛騨慕情」が話題となり、80年に歌手デビューした。<歌詞>風のうわさにひとり来て

 湯の香恋しい

 奥飛騨路

 の歌詞で大ヒット。81年にNHK紅白歌合戦に出場し、慈善活動にも熱心だった。関係者は「後日、お別れの会を開きたい」と話した。

 [2010年12月29日9時47分

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