<第15回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 助演女優賞は、日本テレビ系「妖怪人間ベム」でベラ役を表情豊かに演じた女優杏(26)が受賞した。濃いメーキャップや、きつい言い回しのセリフなど、かつて演じたことのないクセの強い役柄だった。母のような優しさを感じさせるキャラクターが多くの女性から支持された。

 出演依頼が届いた時、「どこをどう落とし込んで実写化するのかまったく読めなかったので、果たして自分が4カ月間アクの強いキャラをやりきれるのか分からない状態でしたね」と不安を感じたという。

 戸惑いを抱えながらも、役作りへの創意工夫は忘れなかった。独特の濃いメーキャップは「1話と最終話では、見比べると若干変わってる」と言うほど試行錯誤を重ねながら作り上げていった。「○○なのかい?」など、特徴あるセリフの言い回しが自然に出来るよう、話し方や振る舞いが常に堂々としているように意識した。

 ベムやベロと衝突しながらも、母のような優しさで見守るベラを表情豊かに演じた。既にテレビ情報誌などのドラマ賞でも助演女優賞を受賞している。努力は報われた。「収録中、何か形になったらいいねって話をしたことはありますけど、まさか総ナメみたいに取れると思ってなかったのでびっくりしてます」。

 好評の要因の1つは、ベム役の亀梨和也、ベロ役の鈴木福とのチームワークだと受け止めている。「亀梨さんが座長としてみんなをまとめてくれて。ご飯を3人で食べたり、空き時間にお茶をしに行ったり、世代を超えたつながりを作れたんじゃないかな」と振り返った。「福ちゃんもアドリブにも柔軟に対応していました。監督の指示や状況の把握がすごく早くて、子役というより、一俳優なんだなとびっくりしました」。

 女優デビューから5年。時代劇からいじめ役、母親役までこなせる女優に成長した。今回の収録スタート前に抱えた不安も「普段では絶対に触れられないであろう特殊な世界にポンと飛び込めてしまうのはお芝居だからこそ。これからも非日常で夢のある世界にどんどんチャレンジしていきたいと思います」。

 10年秋の取材で、女優として取り組みたい題材の1つに、人気コミック「シティーハンター」の実写版を挙げた。ドラマ関係者のみなさん、いかがでしょうか。【今西孝江】

 ◆杏(あん)1986年(昭61)4月14日、東京生まれ。01年モデルデビュー、パリやミラノで活躍。07年テレビ朝日系「天国と地獄」で女優デビュー。ドラマは「泣かないと決めた日」「名前をなくした女神」「平清盛」などに出演。ミニアルバム「愛をあなたに」も発表し歌手活動も。175センチ。血液型A。

 ◆妖怪人間ベム

 11年10月期に日本テレビ系で放送された作品。人間になりたい妖怪人間ベム、ベラ、ベロと人間の交流を描く。主演の亀梨和也がベム、ベラを杏、ベロを鈴木福が演じた。共演は北村一輝、堀ちえみら。平均視聴率15・6%、最高は18・9%。

 ◆ドラマグランプリ

 3月23日から30日まで日刊スポーツのホームページ「ニッカンスポーツ・コム(PC版、スマホ版)」と携帯サイト「ニッカン芸能!」、宅配読者の携帯会員サイト「ニッカンポイントクラブ」で、昨年4月から今年3月までに放送された連続ドラマを対象に、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞、作品賞を選ぶアンケートを実施。各期(4、7、10、1月)ごとのベスト5、各部門計20人(作品)を候補とした。投票総数は5856票。男女別では男性が1207票、女性が4649票、世代別では10代以下が391票、20代713票、30代986票、40代2138票、50代1309票、60代以上が319票だった。