歌舞伎俳優市川海老蔵(34)暴行事件でクローズアップされた暴走族「関東連合」元リーダー、石元太一(30)が22日、都内で自伝「不良録」の発売会見を開き、俳優デビューも発表した。海老蔵に対しては「あの時は迷惑掛けました。頑張ってください、と言いたい」と和解のエールを送った。今後は俳優業に真剣に取り組むといい、役者の勉強として歌舞伎鑑賞にも前向きだった。

 会見で、海老蔵と連絡を取っているか聞かれた石元は、「向こうが絶対会う気はしないと思うんで」と苦笑しつつも、「陰ながら応援できれば」と答えた。続けて「もしどこかで会うことがあれば、『頑張ってください。あんなことがありましたけど。あの時は本当に迷惑掛けました』と言葉を交わせればと思っています」とエールと謝罪を口にした。

 石元は2年前、都内の飲食店で海老蔵と酒を飲んでトラブルになった。同席した石元の後輩男性(当時26=傷害罪で実刑判決)が海老蔵に暴行し、重傷を負わせる事件になった。石元は当事者として「元暴走族リーダー」と報じられた。

 海老蔵とは示談が成立しており多くを語ろうとしなかったが、「居酒屋で酔っぱらい同士でケンカした感覚だった。でもあの事件で誰も得しなかった。(海老蔵には)本当に申し訳ないというか、お互い今後はああいうことがないよう頑張っていきましょう、と言いたいです」と振り返った。

 海老蔵とはもともと、会えば話す程度の仲だったが、事件前は尊敬の念を抱いていたことも明かした。「歌舞伎に対する情熱を聞かせてもらった時、すごくかっこいいと思った。男として、歌舞伎に頑張っている姿は本当に尊敬できると思った」。

 「不良録」によると石元は16歳から都内の有名暴走族「関東連合」メンバーとして活動し、リーダーになった。00年には傷害致死事件で2年以上、特別少年院で過ごした。出所後は広告代理店勤務などをへて、現在は都内で格闘技ジムを経営している。

 この日、来年春公開予定の映画「アンダー・フェイス」(藤原健一監督)で、元プロボクサー役の主演で俳優デビューすることも発表。「腰掛けではなく、真剣に取り組んでいきたい」と宣言。的場浩司のような俳優が目標という。今後、不良少年を持つ親らを対象に青少年育成のセミナーや講演も行いたいという。

 役者勉強のために歌舞伎を見に行きたいかと聞かれると、「経験として、見に行くのは全然ありだと思います。誰か誘っていただければぜひ」と乗り気だった。【広部玄】

 ◆海老蔵暴行事件

 10年11月25日、東京・西麻布の飲食店で酒を一緒に飲んでいた海老蔵と石元が、酔った末トラブルに。石元を迎えに来た暴走族時代の後輩男性(当時26)が海老蔵に暴行し、海老蔵は顔面骨折など全治2カ月の重傷を負った。男性は同12月に逮捕され傷害罪で起訴。11年3月、懲役1年4月の実刑判決を受け、今年3月出所した。海老蔵は事件後無期限謹慎に入ったが11年7月、舞台に復帰。