体操でロンドン五輪に出場した日体大助教の田中理恵さん(26)が、ミュージカルに初出演することが6日、分かった。元体操選手の池谷直樹(40)が演出を手掛け、アスリートのパフォーマンスと音楽を融合させた「サムライ・ロック・オーケストラ」(6月5、6日、東京・日本青年館)で、田中さんは5日にゲスト出演する。

 田中さんが初めてエンターテインメントの世界に足を踏み入れる。同作は、ロックに乗せたパフォーマンスを通して、アスリートの身体能力を見せるミュージカル。12年に初演され、今回が3回目で、せりふはなく、体操選手、ダンサー、アクロバット選手らが、体を使った表現をする。直径2メートルのリングに入って回転するラートや、巨大跳び箱、天井からつるした輪を使った空中パフォーマンスなどがある。

 ただ、本人はこれで「女優デビュー」とは位置付けていないようだ。その美貌から、現役時代から「女優に転身を」の誘いは続いたものの、引退会見で「体操の田中理恵を大切にしたい。女優は考えていない」と話していた。そのスタンスは不変で、「サムライ-」も、日体大体操部の先輩でもある池谷から「アスリートが引退後に活躍できる場所を確保し、子供たちにも夢を与えたい」と説明され、オファーを受けるに至ったという。

 関係者によると、田中さんは1日限りの出演で、役も未定。稽古は5月から入るが、「初めての経験となりますが思い切って挑戦してみることにしました。池谷さんと同じ志を持つ競技者として、貢献できればと思いました。女優ではないので、演劇でしたら困惑したと思いますが、せりふのないミュージカルと聞いたので、挑戦してみたいとも思いました」と現在の心境を語った。

 2020年東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会の理事に就任したことも背中を後押ししたようで、「日本選手が五輪で活躍できるよう、舞台を通じてスポーツのすばらしさ、楽しさを伝え、子供たちがスポーツをするきっかけになれば」とコメント。池谷も「(世界選手権で)エレガンス賞を獲得した彼女らしいしなやかな動きを発揮できるような演出をします。新しい田中理恵をお見せします」と宣言した。