テレビの料理番組などで人気を集めた中華の料理人、周富徳(しゅう・とみとく)さんが8日午後11時37分、誤嚥(ごえん)性肺炎のため横浜市中区の病院で死去した。71歳だった。

 周富徳さんをバラエティー番組「浅草橋ヤング洋品店」(テレビ東京、92~95年放送)に起用し、芸能界に導いたのはプロデューサーのテリー伊藤氏(64)だった。周さんが赤坂「璃宮」の総料理長だったときに客として訪れ、料理の説明を受けた。「会話のテンポがよくて、話の内容も面白い。思わず『バラエティー番組に出てみませんか』と打診したら、すぐに快諾してもらった」と、スカウトした当時を振り返った。

 周さんは番組で共演した若い料理人にレシピを惜しみなく教えていたという。「優しすぎて威厳がない。だから胸を張って腕組みをする決めポーズを作ってもらった」と話した。その後、テリー氏に「僕以外にも面白い料理人がいるんだ」と金万福さん、譚彦彬(たん・ひこあき)さんを紹介して中華料理を広めようとしたという。「伝統にとらわれないネオチャイニーズを作ると息巻いていたのに…」と、テリー氏は残念そうにため息をついた。