覚せい剤取締法違反(所持、使用)などの罪に問われた歌手ASKA(本名・宮崎重明)被告(56)の初公判が28日、東京地裁で行われた。被告人質問では検察側から、共に逮捕された知人の栩内(とちない)香澄美被告(37)について繰り返し聞かれ、無表情から一転して気色ばむ場面もあった。栩内被告については「大事な存在」と答えた。

 被告人質問の後半、検察側が突然切り出した。「栩内さんとは交際何年ですか」。ASKA被告は「6年ぐらいだったと思います」と落ち着いて答えた。

 その後、栩内被告に関するやり取りが続いた。

 検察側

 栩内さんにサイレースといって覚せい剤やMDMAを飲ませたのでは

 ASKA被告

 そんなことは1度もありません

 検察側

 栩内さんの飲み物や食べ物に(薬物を)混ぜたりしたのか

 ASKA被告

 そんな卑劣なマネをしたことはありません

 検察側

 栩内さんが吸うたばこに覚せい剤やMDMAを混ぜたことは

 ASKA被告

 ありません!

 それまで淡々と答えていたASKA被告が、初めて語気を強めた。質問の重複を主張する弁護側に検察側が強く反論。法廷内が緊張感に包まれた。

 ASKA被告は、栩内被告の薬物使用を一貫して否定した。栩内被告の毛髪から薬物の陽性反応が出たことは「信じられません。(薬物を)入手する手段はないはずだと思います」と断言。栩内被告をどう考えているかと問われると「大事な存在だと思っています」と答えた。好きな人かと畳み掛けられると「はい」。今後の関係については「その前に話さないといけないことがたくさんあるので、ここで話すのは無理」。「まだ(今後)決めていないのか」と聞かれると「はい」と答え、関係の継続をにおわせた。

 ASKA被告が栩内被告に対して唯一突き放すような発言をしたのは、栩内被告からのメールを提示された時だ。4月20日の「私にしたのは気付いてたよ。あれから寝られなかった」。同月29日の「なのに、あんなひどいことをするんだ。娘には絶対させないことを」といった内容が読み上げられた。

 なぜそんな内容が送られたのか経緯を聞かれると「分かりません。彼女に聞いてください」。一方で、栩内被告から薬物使用を疑うメールが届いたことも認め、「時々そういったメールをくれていたので、また始まったか、ぐらいにしか思いませんでした」とした。