長渕剛(58)が18日、都内で記者会見を行い、来年8月22日に静岡県富士宮市の富士山麓でオールナイトライブを開催することを発表した。10万人の動員を予定している。故郷鹿児島の桜島で行った伝説のオールナイトライブから10年。世界文化遺産をバックに、単独アーティストとしては前人未到の領域に挑む決意を熱っぽく語った。

 桜島オールナイトライブは04年に行われた。「桜島から10年たつんですけどね。あれから情熱が冷めないんです。もっと喜んでもらえることをやりたい。みんなが拳を突き上げることをやりたい」。自分を鼓舞するかのように語った。「毎日勝負しながら生きている。死にたいほど生きているという実感を感じたい」と公言するが、突き上げるような熱い思いを今度は富士山麓で爆発させる。桜島では「何かを変えたい。変えないといけない」と7万5000人を前に「チェンジ」を訴えた。今回は10万人と1つになって「生きる意味」を共有したいと話す。

 10時間近いオールナイトライブは、自分にとってもファンにとっても、精神的、肉体的に過酷だ。あえてそこに共に挑むことで「生きているって本当にいとおしい」という喜びを共有して、「死にたいほど生きている」という思いに共鳴できると信じている。「生きる意味、生きる感じ、生きる感覚をみんなと共有したい。家族や友人、見知らぬ人たちが集まって同じ空間で同じ星を見て同じ月明かりの下で人生を考えたりする。そいつをやりたい」。

 準備は、着々と進んでいる。新曲を用意し、プロモーション活動の先頭にも立っていく。テレビやラジオへの出演だけでなく「映画にも露出していこうかな」との思いまである。

 前人未到の挑戦になる。単独アーティストがオールナイトで10万人を集めたライブを開くのは史上初の試みとなる。この日は「ただならぬ恐怖もある」と言ったが、覚悟はできている。「のどがつぶれるまでやる。自分がそこで、どうなってもいいという覚悟はありますから」。

 ファンに向けたメッセージを求められると、「ただ1つ。8月22日、10万人集結しろ。そこで何かを見つけよう。そこへ来やがれ。それしかないです」。

 11カ月後。富士山頂から朝日が昇るころ、新しい長渕伝説が生まれる。【松本久】

 ◆桜島オールナイトライブ

 桜島の荒れ地を開拓してつくった野外会場に7万5000人が集まった。04年8月21日夜から、約9時間で全42曲を熱唱。会場面積は13万平方メートル。経済効果は約50億円とされ、会場跡地には記念モニュメント「叫びの肖像」が建っている。