ホステス経験を理由に東洋英和女学院大4年の笹崎里菜さん(22)が日本テレビのアナウンサー内定を取り消され、地位確認を求めた民事訴訟で、東京地裁は26日、双方に和解を勧告した。笹崎さんの代理人、緒方延泰弁護士は「望んでいる方向に走っている」と笹崎さんの来年4月入社に手応えを見せた。

 前代未聞の騒動が解決へ動きだした。この日、東京地裁が和解勧告。緒方弁護士と、日本テレビ側の木下潮弁護士が出席し、約1時間半にわたり話し合いがもたれた。話し合いの後、フジテレビの取材に応じた緒方弁護士は「日テレさんもそれなりのお考えを示してくれた。非常にいい方向に進んでいる」と話した。

 「2011ミス東洋英和」の肩書を持つ笹崎さんは、昨年9月に日本テレビのアナウンサー職の内定を受け、入社前研修を受けていた。今年3月に人事担当者に銀座のクラブのアルバイト経験を報告したところ、5月になり「アナウンサー職について必要とされる清廉性に欠ける」ことを理由に内定を取り消された。

 笹崎さんは、内定取り消しの撤回と、予定通りの来年4月に入社を求めて、日本テレビを相手に「地位確認請求」の訴訟を起こした。先月14日に東京地裁で第1回口頭弁論が行われたが、日本テレビ側の代理人は出席せずに請求棄却を求めて争う姿勢を示していた。しかし、和解勧告を受けて緒方弁護士は「文書で提案があった。和解交渉は始まったばかりだが、『傷ついたヒナ鳥(笹崎さん)の毛をむしったから、それを治していらっしゃい』ということ(内容)だった。すぐには成立しないが、通常よりも温かい手を差し伸べてもらって、不安のない形で入社させてもらいたい」と話した。

 一方で、日本テレビ広報IRは「本件は民事裁判が進行中の事案であり、コメントは差し控えさせていただきます」と発表。年明け早々に再協議が行われる。<内定取り消し騒動の経過>

 ▼13年9月

 笹崎さんが日本テレビアナウンサー職内定通知を受ける。

 ▼14年3月

 日本テレビ人事担当者に銀座でのホステス経験について報告して相談。

 ▼同5月

 日本テレビから「アナウンサーに必要とされる清廉性に欠ける」と指摘され内定取り消しに。

 ▼同11月14日

 東京地裁で「労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する」訴訟の第1回口頭弁論。日本テレビ側は誰も出廷せず。

 ▼同11月28日

 フジテレビ亀山千広社長が「うちだったら内定を出した以上は採用する」と発言。

 ▼同12月26日

 東京地裁が和解勧告。