サザンオールスターズが27日、9年ぶりの年末公演「ひつじだよ!全員集合!」を横浜アリーナでスタートさせた。おなじみのエロ系エンターテインメントから世相と向き合った演出まで、硬軟を織り交ぜたステージでファンを喜ばせた。大みそかの年越しライブまで4日間で約6万人を動員の予定だ。

 サザンとして今年初のライブが師走になって実現した。「この日を夢見ていました」という桑田佳祐(58)の感謝の言葉でステージが幕を開けた。

 最新曲「東京VICTORY」を歌う場面では、東日本大震災以降、原発問題を抱える福島県や、米軍基地問題で出口の見えない状況下の沖縄県の映像を巨大スクリーンに映し出した。同曲は、今の日本に勇気と前進する力を与えるポジティブな歌。まさに今を駆け抜ける音楽界のトップランナーとして、目の前のリアルな社会問題から目をそらさぬ姿勢を、さりげない演出で示した。

 得意の艶っぽさも忘れない。来年の干支(えと)を意識したビキニ姿のセクシーな羊ダンサーたちがステージに何度も登場。サービス精神も相変わらずだ。女性ファン1人をステージに上げ、腰に手を回し熱唱。ファンを大切にするサザンならではの演出で会場が一体感に包まれた。

 この日は、「フリフリ’65」「LOVE

 AFFAIR」「爆笑アイランド」など新旧を織り交ぜた34曲を披露した。「爆笑-」では危険ドラッグ、STAP細胞、消費税増税などの世相を象徴する言葉が画面にいくつも並んだ。

 同公演は29日を除いて大みそかまで行うが、30日には「東京-」が優秀作品賞にノミネートされている日本レコード大賞がある。さらに大みそかは、出演が内定しているNHK紅白歌合戦もある。紅白は年越し公演と同時間帯となるため、中継出演が濃厚。あくまで「サプライズ」を前提にしており、この日もファンから質問が飛ぶと「出ません!」。ところが直後に「今のところはね」と続けて含みを持たせるなど、言いたくても言えない立場を貫いた。

 来年春に10年ぶりのオリジナルアルバムを発表する予定。国民的人気バンドは休む間もなく年末から来年へ駆け抜ける。【松本久】