佐村河内守氏(51)のゴーストライターだった新垣隆氏(44)が、作曲家として初めて名前を入れたCDを制作したことが26日、分かった。バイオリニスト礒絵里子(42)とアルバム「新垣隆&礒絵里子/ロンド~珠玉のヴァイオリン名曲集」で、3月11日にリリース。同26日の宮城・石巻ビッグバンから、初めての全国ツアー(8カ所9公演)も行う。

 情報番組、バラエティー番組出演、モデル…騒動を乗り越えて人気の新垣氏が、本領を発揮した。佐村河内氏のゴーストライターになった作品に加え、クラシックCDでピアノ演者として名を連ねたことはあるが、初めての自身名義CDリリース。「名曲集」と題した上で、新垣氏は「ロンド」「哀しい鳥」と、2曲の新曲を書き上げている。ピアノ演者としても、全編で礒のバイオリンとハーモニーを奏でている。

 「昨年9月にお話をいただき、2カ月で完成させました。久々のレコーディングでしたが、旧知の礒さんということでリラックスして楽しめましたし、一生懸命に書かせていただきました。クラシックが初めての方でも、聴いてもらえる内容になっています」

 2人は桐朋学園大時代からの友人。騒動の最中には、礒ら音楽仲間が集まり、新垣氏を励ましてもいた。昨年6月には都内で「新垣隆withフレンズ・コンサート」を開催。それらが、今回のアルバム制作につながった。互いの信頼関係は深まり、新垣氏は、礒について「大学時代から彼女は自然体でしたが、ますます深みが増している」と話している。

 3月26日からは、2人でコンサートを行う。3月26日の宮城・石巻ビッグバンから11月11日の東京・浜離宮朝日ホールまで、8カ所9公演が決定。新垣氏はピアノ演奏のサポートメンバーとして同行したことはあるが、自分名義の全国ツアーも初めてで、「自分が大勢の前でしゃべるなんて、想像もできないのですが、礒さんの言う通りに頑張るしかないですね」と緊張気味だ。

 昨年末はTBS系「日本レコード大賞」でゴールデンボンバーとエアギターで共演し、大みそかには日本テレビ系「絶対に笑ってはいけない大脱獄24時」で鼻をクワガタに挟まれるなど、仕事を断らない新垣氏。今度は、公演でのトークと演奏が注目されそうだ。

 ◆新垣隆(にいがき・たかし)1970年(昭45)9月1日、東京都生まれ。4歳からピアノを始める。千葉県立幕張西高音楽科卒後、89年桐朋学園大音楽学部作曲科入学。在学中に作曲家グループ「冬の劇場」に参加し、昨年2月、佐村河内氏のゴーストライターを18年間務めてきたことを告白。同3月で桐朋学園大非常勤講師を退任。

 ◆ゴーストライター騒動

 昨年2月、全聾(ろう)の人気作曲家で「現代のベートーベン」と呼ばれた佐村河内氏の楽曲が、別人によって作られたことが判明。同6日、18年間にわたりゴーストライターを務めた新垣氏が会見し、20曲で約700万円の報酬を得たことを告白、「私は共犯者」と謝罪した。佐村河内氏について「耳が聞こえてないと感じたことは1度もない」と話した。3月7日には佐村河内氏が会見し、「感音性難聴」であると主張。新垣氏を「名誉毀損(きそん)」で訴えると宣言した。その後、佐村河内氏は表舞台から姿を消した。日本音楽著作権協会は、12月31日付で佐村河内氏との信託契約を解除した。