3月23、24日に東京国際フォーラム

 ホールCで44年ぶりに一般公開する映画「黒部の太陽」(熊井啓監督)ノーカット版(3時間15分)のプレミア上映会チケット約3500枚が完売し、24日午後7時15分から追加上映が決まった。

 10日に前売り券を発売したところ、3月23日分は2日で、24日分も19日に完売し、急きょ夜の部の追加を決めた。チケットは28日からファミリーマート限定で発売するが、1枚1000円で枚数は約1200枚しかなく、争奪戦は必至だ。

 全国縦断チャリティー上映会「『裕次郎の夢』プロジェクト」総合プロデューサーを務める、チャンネル銀河の関本好則社長は「『黒部の太陽』を見たい人が、これほどいるとは思わなかった」とうれしい悲鳴を上げた。完売直後、チケットがヤフーオークションに出品され4800円で売れたという。同じ24日に上映される「栄光への5000キロ」完全版のチケット500枚も残りわずかだ。

 人気が過熱した要因としては“幻の作品”として知られる「黒部の太陽」を見たい、という映画ファンの心理が働いたとみられる。完全版は68年の公開から44年でわずか2度イベント上映されたのみ。タイトルは知っていても映像を見たことがないファンが、チケット購入に走ったようだ。

 全国縦断上映会への反響も大きく、作品の舞台富山、長野両県を中心に全国から上映の申し出が相次いでいる。関本社長は「5月に九州でスタートし、四国は6、7月、中国は7月と西から北上しつつ、逆に7、8月に北海道から南下する形を考えている。全国をブロックに分け、1ブロックで1、2カ月間にわたり集中上映する方向で固まりつつあります」と明かした。

 ◆「黒部の太陽」

 毎日新聞編集委員だった木本正次氏が、64年に同紙に連載した小説が原作。俳優、監督の引き抜き、貸し出しを禁じた「五社協定」全盛で、映画各社から協力も得られない中、石原裕次郎さんの石原プロモーションと三船敏郎さんの三船プロダクションが共同製作し、2人が初共演&ダブル主演。56年から63年まで行われた黒部川第四発電所(黒四ダム)工事、中でも関西電力大町トンネル工事の難関だった軟弱地層・破砕帯を突破する7カ月の困難と、乗り越える人間の強さを描いた。