【香港13日=相原斎】映画「魔女の宅急便」の世界7カ国・地域公開が決まり、主演の小芝風花(16)と清水崇監督(41)が、その皮切りとなる香港を訪れた。13日付の地元紙が「魔女襲来」と報じるなど反響は大きい。25年前に公開された宮崎駿アニメのヒットもあり、魔女ルックの小芝は子どもたちから役名の「キキ!」と声を掛けられていた。

 春の選抜高校野球応援キャラクターに選ばれ、国内での認知度が一気にアップした小芝だが、初の海外キャンペーンはさすがに緊張気味。25年前に公開された宮崎駿監督のアニメ版が興収400万米ドル(約4億円)に達する大ヒット。動員では昨年夏に公開された「真夏の方程式」の1・5倍だ。「真夏-」がアジア全域で人気上昇中の福山雅治(45)主演であることを考えれば、「魔女-」人気はすさまじい。

 それだけに実写版への期待も高い。市内で行われたイベントでは、小芝が約30社のメディアに囲まれ、言葉を選びながら話した。「初主演の撮影の厳しさがそのままキキの魔女修行に重なりました」。

 地元テレビ番組ではタイトルコールでNG連発。同席した清水監督からも「今のは日本語のところもおかしい」とダメ出しされた。

 日本出発前には、香港映画の名作を自らネット検索。レンタルビデオで名作「インファナル・アフェア」(02年)を見た。「トニー・レオン、かっこいいです。すごい映画でした」。到着後は通訳に付きっきりで現地語のあいさつを習ったが、地元メディアとのやりとりには心残りもあったようだ。「やっぱり語学は大事ですね。高校でも英語が苦手なんですが、これから少しずつでもやります」。

 到着を一報した香港の有力紙東方日報は「ほうきを持って香港に襲来。フラッシュの雨にもたじろがず」。文集報は「初主演ながら堂々としたもの」。むしろ強心臓、大物ぶりを伝えた。「あがっているのに本番強いねっていわれるんです」。西日本小中学生大会で8位に入ったフィギュアスケートの経験も大きい。

 4月の香港を皮切りに台湾、シンガポール、ベトナム、インドネシア、ドイツ、スペインで公開されることも決定しており、「香港で考え方が変わりました。外国の作品出演も目指したいし、キャンペーンでもコミュニケーションを大事にしたいです」。最後は屈託なく笑った。