3月30日に胃がんのため69歳で亡くなった俳優蟹江敬三さんが、末期がんと知りながら、死の13日前まで仕事をしていたことが5日、分かった。

 03年の映画「精霊流し」で蟹江さんを起用した田中光敏監督(55)は「心の底から頭の先から足の先まで本当に役者。また機会があれば仕事がしたかった」と悼んだ。この日、都内で初日舞台あいさつが行われた最新作「サクラサク」は、「精霊流し」と同様、さだまさしの小説が原作で、一平もラストに出演している。さらに田中監督の実父博さんも、今月1日に肺気腫で亡くなったばかりと、因縁深い初日となった。蟹江さんと再び仕事をすることはできなかったが、「一平さんの芝居を見ていて、笑顔に面影がある。これから素晴らしい役者になる…そういうことを蟹江さんと話したかった」と沈痛な面持ちで語った。