初主演映画「太秦ライムライト」が話題になった福本清三(71)に石原裕次郎特別功労賞が贈られる。

 「5万回斬られた男」の異名を持つ福本清三が石原裕次郎特別功労賞を受賞した。映画界に対する長年の功績に贈られた。「オレなんかがもらってええんかな。でも頑張れば日の目をみることが、間違ってもあるんやな」。

 今年は初主演作「太秦ライムライト」が公開。時代劇の聖地、京都・太秦の撮影所を舞台に斬られ役一筋の老俳優を演じた。東映京都撮影所に入ったのは、15歳の時。最初は通行人や死体の役ばかり。先輩から「斬り方は教えられるけど、斬られ方は教えられん。お前だけの斬られ方があってええ」と言われ「絵になる斬られ方をメチャメチャ研究した」。

 頭を打つくらい思いきり倒れ、灯籠にも突っ込む。「痛みを感じるくらいに倒れなあかん」。もんどりうって半世紀以上、今も生傷が絶えない。好きな言葉は「どこかで誰かが見ていてくれる」。「努力すれば願いがかなうわけじゃないが、努力を捨てたらあかん。置かれている立場の中で一生懸命やるしかない」。【松浦隆司】

 ◆福本清三(ふくもと・せいぞう)1943年(昭18)2月3日、兵庫県生まれ。58年に東映京都撮影所入り。「水戸黄門」「暴れん坊将軍」などに斬られ役で出演。03年米映画「ラストサムライ」に出演。04年日本アカデミー賞協会特別賞。14年ファンタジア国際映画祭で最優秀主演男優賞。172センチ、血液型B。

 ◆石原裕次郎賞

 戦後を代表する映画スター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、石原プロモーションの全面協力で日刊スポーツ映画大賞に併設。