東京都の小池百合子知事は12日早朝、築地市場の豊洲移転延期を決断後、初めて築地市場を視察に訪れ、歓迎ムードで迎えられた。

 マグロや青果物の競りを視察した際、小池氏には「頑張れよ」と激励が飛び、携帯電話で写真撮影する関係者が後を絶たず、花束を手にしたり、小池氏のイメージカラー、緑のアフロヘアのかつらをかぶった人も。市場で働く人々の予想以上の歓迎に、小池氏は「こんなに温かく迎えてもらえてありがたい」と、謝意を示した。

 競りの間には、市場側の代表者らと約30分間、意見交換した。

 築地市場協会の伊藤裕康会長は、小池氏に対し、移転の是非や時期について「少なくとも、今年度中には一定の判断を示してほしい」と、今年3月までに判断するよう要求。「1日も早く、よりよい形で解決し、新たな市場の形を示してほしい」とも述べた。

 これに対し、小池氏は「判断のタイミングについては、1日も早く出したいと、(市場の)共同経営者として思っている」とした上で、「消費者の観点から、安心安全は何より大事」と述べ、14日の専門家会議で豊洲の地下水モニタリング調査の最終結果が発表されることを明かし、「その結果をまず確認させてもらい、判断材料にしたい」と主張。14日の専門家会議の結論を見守る方針を示した。 「(移転問題は)政治的な問題ではない。風評被害の話もあるだけに、科学的な調査で証明したい。証明されると、風評被害もおのずと消えていくと思う」と、理解を求めた。

 一方、別の関係者からは「知事はワイズスペンディング(賢い支出)というが、お金ではなく、人と時間をもっとわれわれの業界にも割いて欲しい」と要望も出された。