30年の時を経て現れた超新星だ。85年12月、羽生3冠がプロデビューした際、当時のトップ棋士・中原誠16世名人は「谷川(浩司)君もそう長くはないね」と話したという。その言葉通り、89年に初タイトルの竜王を19歳3カ月で獲得。24歳だった94年に史上初の6冠となり、25歳の96年には谷川王将(当時)を破り前人未到の7冠を達成した。将棋界の常識を覆し続けてきた羽生3冠が、14歳棋士との対局後に口にした「すごい人が現れた」の一言は、新時代の到来を予見させる重みがある。

 公式戦でもデビュー以来無傷13連勝の日本記録を更新中と、規格外の快進撃を続ける藤井4段。羽生3冠は「鋭い攻めの印象。新人とは思えない落ち着きを持っている。どんな棋士になるか、とても楽しみ」と期待を隠さなかった。

 ▼藤井4段はデビュー以来、快進撃している。昨年の公式戦初戦では加藤一二三9段(77)を下して白星発進。加藤9段は「うまく負かされた。大局観が素晴らしい」と評価。今月4日には小林裕士7段(40)を破り、新記録の11連勝。次の公式戦は26日の棋王戦予選で平藤真吾7段(53)と戦う。