北朝鮮が日本時間29日午前5時半ごろ、内陸部の平安南道北倉付近から北東方向に弾道ミサイルを発射した。

 日本政府によると、約50キロ飛行し、北朝鮮内陸部に落下した。日本政府は北朝鮮に厳重抗議。米国のトランプ大統領はツイッターで「北朝鮮は中国を軽視した」と批判した。日本国内では発射情報を受け、東京メトロ全線と東武東上線、北陸新幹線の一部区間などが運転を見合わせた。

 東京都新宿区のITジャーナリスト神田敏晶氏(55)は午前6時ごろ、東京メトロ日比谷線に乗車中だった。霞ケ関駅で列車が止まり、「ベルが鳴って、駅員さんが走って行った。最初は人身事故かと思った」と振り返る。そのうちに車内アナウンスがあり、「北朝鮮」「発射情報」「全線運休」という単語が耳に飛び込んできた。車内は空いていたが「乗っていた乗客同士が顔を見合わせた」という。

 神田さんと一緒だった妻は、車内から沖縄県の実家に連絡。昨年2月には北朝鮮のミサイルが沖縄上空を通過し、全国瞬時警告システム(Jアラート)が発動していただけに、すぐに連絡を入れたが、着弾の情報はなかった。神田さんは「地下鉄車内でテレビもなく、ネットニュースにも出ていなかった。情報がないうちは、地上はどうなっているんだろうとも考えた」という。

 そのうちに、SNSで友人から「発射は失敗らしい」とのメッセージがあり、10分ほどで地下鉄の運行も再開したという。神田さんは「ミサイル発射情報と聞いても、乗客は意外と冷静で、緊張が走るという感じもなく、パニックになる人もいなかった」と話した。