2020年東京五輪・パラリンピックの聖火リレー出発地について宮城県の村井嘉浩知事が27日、同県石巻市が選ばれるよう近日中に大会組織委員会を訪れ、要望書を提出する考えを示した。

 盛岡市で行われた全国知事会で、取材に答えた。同市は早くから出発地に名乗りを上げ、組織委も候補地の1つとして検討中。村井氏は「復興五輪の精神だ。必ず出発地にしてほしい」と語った。

 一部報道で石巻の名が挙がったことで組織委の森喜朗会長が「先に出てしまうと組織委としてはできない。報道で出たら逆に、なくなったと見ていただいていい」と発言したことについて村井氏は「初めて聞いた。ただ、私どもから出た情報ではない。それを根拠に石巻を外すのは理由にならないのでは」と疑問を呈した。

 同市は東日本大震災において最大の被害規模だったことから、出発地に名乗りを上げた。14年には1964年東京五輪で使われた旧国立競技場の聖火台が同市に貸与された。その聖火台を出発点とする計画で村井氏は「(20年まで)置いておいて欲しいという思いはあります」と語った。

 ただ、新国立競技場が完成したら返還するのが当初の貸与条件。森会長も貸与当初の約束があるとの考えを持つ。さらに埼玉県川口市の鋳物工房で生まれた聖火台を1度、同市に戻して磨いた後、新国立に戻すという案もある。

 森会長と村井氏は五輪ボート会場変更問題で昨年9月以降、意見が対立する場面が見られた。石巻市が有力とする一部報道が出た今月20日に森氏は「県中が大騒ぎになる。それでダメになったら大きな衝撃。(聖火リレーは)ボート場の時のような騒ぎでは済まない」と懸念した。

 この日、会議に出席した大会組織委員会会長代行の遠藤利明前五輪相は、出発地について「現時点で出発地は決めていない。被災地は大事だが、どういう形にすれば被災地が喜んでくれるか考えたい」と述べた。