日本ハム栗山監督は、自ら話題を切り出した。23日西武戦(上毛敷島)の試合前だ。

 栗山監督 今日だってさ、いろんな事件事故が…。我々は平和な日本にいさせてもらって、どうなるか分からないけど、そうやって世の中が平和であることが前提で野球をやらせてもらっている。やっぱり人が世界で亡くなっている中でさ、野球をやらせてもらって本当にありがたいと思っているよ。それを、みんなが体現しないと。表現できなかったら申し訳ない。

 おそらく、この日の早朝に報じられた悲惨なニュースのことを指していた。英中部マンチェスターのコンサート会場で発生した自爆テロ。死者も出た。被害者には子どもも含まれた。米人気歌手の歌声を楽しみにしていた人々が、目の前の幸せを召し上げられ、悲劇を突きつけられた。事件発生後に、過激派組織イスラム国が犯行声明を出した。

 現状で日本が同様のテロの標的になった事例はない。現実としてプロ野球は今季も例年同様に開催されている。だが、当たり前に思える状況は当たり前ではない-。栗山監督は、言葉を続けた。

 栗山監督 もちろん勝ちたいし、勝つためにやっているんだけど、そんなことより今日1日、試合が終わった時に見ている人たちに「こいつら一生懸命やったな」と思ってもらわない限りは、意味がない。それだけは選手にお願いしているし、こっちだってそういう風にやっているつもりだし。そういう選手が多くないと、勝てないと俺は思っている。

 プロ野球界だけでなく、一般社会でも同じことが言えるのではないか。自分の立場に置き換えても、栗山監督が発したメッセージは心に突き刺さった。【日本ハム担当 木下大輔】