怪物ルーキーの初陣は雨でお預けとなった。16日午前7時30分、東京都高野連が試合中止を発表。早実の選手たちを乗せたバスは10分後に球場に到着したが、清宮幸太郎内野手(1年)は駐車場に止めた車内で待機したまま報道陣の前に姿を現さなかった。取材に応じた和泉実監督(53)は「長く(監督を)やっているが、初戦が雨で流れたのは初めてじゃないかな」と残念そうに言った。

 心の準備はできていた。「3番一塁」での先発が濃厚だった清宮は、開幕前から「早く試合がしたい」と夏の初戦を心待ちにしていた。車内での様子を見た和泉監督は「静かにして、集中していた」と話す。主将の加藤雅樹捕手(3年)も「会場に来るまで試合をやるつもりだった。残念だけど、明日(17日)に備えたい」と切り替えるしかなかった。

 今春の都大会も雨からのスタートだった。入学2日後の4月8日に予定されていた同3回戦(駒大高戦)が、雨のため順延となった。仕切り直しとなった翌9日の第4打席で、決勝の左前適時打を放って高校初安打、初打点をマークした。鮮烈デビューを飾ったが、チームは10-8の辛勝。加藤は「春の経験も踏まえて、(気持ちが)だれちゃダメだと伝えたい」と引き締めた。

 日程変更は、清宮に新たなモチベーションも生み出した。今日17日は、父克幸氏の48歳の誕生日。高校通算14本目のアーチをかけて、最高のプレゼントを贈るつもりだ。【鹿野雄太】