西武は大阪桐蔭トリオが、初のホームラン競演で快勝を演出した。「日本生命セ・パ交流戦」のDeNA2回戦で、中村剛也内野手(31)が2回に2試合連発となる先制17号ソロを放てば、4回には森友哉捕手(19)がバックスクリーン左へ中押し12号ソロで続く。最後は8回に浅村栄斗内野手(24)が、バックスクリーンへダメ押し7号ソロをたたきつけた。メヒアも2本放ち、3番から6番までソロ5本のそろい踏み。相手チームには脅威のフルスイング打線を形成している。

 浅村は自分だけホームランを打っていないことを意識していた。大阪桐蔭の2人とメヒアが目の前で派手にアーチをかけていた。「当然ありました。でも狙ってはいないです。直球狙いのところにスライダーが来たけど、うまく反応できました」とホッとした。中村、メヒアが打っても焦らないようにしている。

 気分をよくしたのは中村だ。横浜スタジアムは相性がいいことを分かっていた。「よく打っているイメージはありますね。横浜に移籍します!」と冗談もさえる。昨年までセ・リーグの本拠地では断トツに多い11本を記録している。前日(5日)の雨中弾と合わせて通算13本に積み上げた。そして後輩2人の活躍を喜んだ。「頼もしいです。3人一緒では食事していないので今度行こうかな。岡田もいますよ」と出番の少ないもう1人の後輩にも気遣いを見せた。

 頼もしいのが森だ。交流戦に入ってセ・リーグの攻め方に戸惑い、調子を落としていた。カーブを使った緩急にやられていた。この日も森の打席だけカーブが多かった。それを予測した宮地打撃コーチからアドバイスを受けると、すぐ答えを出した。1打席目初球、井納の117キロカーブを痛烈に打ち返した。遊撃手の正面を突くゴロとなったが手応えを得た。「(長打は)2本とも変化球をためてうまく打てた。理想の方向に理想の打球が飛びました」。本塁打はスライダーだが、7回4打席目の左翼フェンス直撃二塁打も119キロのカーブ。あと50センチでホームランという一撃で、宮地コーチを「対応力は並じゃない」とうならせた。

 メヒアも含め4人で5ホーマーだが、三振も全員が喫して6個。これが特徴だ。田辺監督は納得している。「3番から6番までは本塁打と三振は紙一重。みんな振るからね。相手にしたらイヤだと思うよ。もしかしたらってね」。もしかしたらが5本も飛び出したらたまらない。

 ただ課題はある。前後を打つ打者に適時打が出ず、7回には炭谷がスクイズを失敗したことだ。「つなぎと小技。粘りというか、そういう野球を目指していきたい」と田辺監督は言う。豪快なホームランでファンを魅了し、スモールベースボールで引導を渡すのが理想型だ。【矢後洋一】

 ▼西武が11年5月21日中日戦以来の1試合5本塁打。西武でソロアーチばかり5本は、04年4月7日オリックス戦(西武ドーム)で赤田、細川2、大島、フェルナンデスが打って以来11年ぶり(スコアは12-4)。西武は5本塁打を放ちながら得点は5。5発で5得点はパ・リーグで初めて。セ・リーグは5発5得点が5度、6発6得点が1度、7発7得点も1度ある。