最小兵が成り上がる。西武の春季キャンプ振り分けが20日に発表され、昨年7月に育成から支配下登録された水口大地内野手(26)が初のA班(1軍)メンバー入りを果たした。内野はどこでも守れるユーティリティー。チームは正遊撃手が不在で「1軍の監督コーチに見てもらえる。今年はショートをするつもりで練習してきました」と緊張気味に笑って見せた。

 身長163センチはDeNA内村と並び、12球団所属選手で最も小さい。それでもしぶとい打撃には定評があり、昨季イースタンでは76試合で打率3割2分5厘をマーク。7月は4割超えで月間MVPを獲得した。1年を通し、三振は197打席でわずか7つ。田辺監督は「粘り強くて簡単に三振しない。うちはショートが弱いから、守備の安定感が加わってきたら戦える」と期待した。

 1軍レギュラーの座は十分狙える。昨季遊撃を守ったのは金子侑の57試合を筆頭に、鬼崎47試合、永江51試合、外崎と渡辺が34試合。若手中心に激しい争いが続いている。水口は2軍では主に二塁守備に就いていたが、遊撃でも10試合に出場した。

 支配下登録後の秋季練習も遊撃に入った。「セカンドよりショートをやらせてもらえるように。急に肩が強くなることはないので、リストを鍛えたり、足も鍛えてます」。今オフも、三遊間の厳しい打球に対応できるよう体幹トレーニングに励むなど精進している。

 「初めてのことなので緊張と不安はある。でも1軍の監督、コーチに見てもらえることが本当にうれしい」。準備は万全。独立リーグ出身、育成から昇格したばかりの遅咲きの26歳が、一気に1軍定位置を奪いにかかる。【鎌田良美】

 ◆水口大地(みずぐち・だいち)1989年(平元)6月28日生まれ、長崎県出身。大村工を卒業後、四国九州IL・長崎を経て、四国IL・香川から12年育成ドラフト1巡目で西武に入団。3年目の昨年7月23日に支配下登録され、背番号が「123」から「00」に変更。同年イースタンで76試合に出場して打率3割2分5厘、0本塁打、12打点、18盗塁をマークした。163センチ、60キロ。右投げ左打ち。ドラフト指名時は身長168センチと“サバ読み”していた。

 ◆プロ野球界の小兵 現役では水口と内村(DeNA)の163センチが最も身長が低い。投手では石川(ヤクルト)谷元(日本ハム)の167センチ。過去最小兵は兄弟選手の浜崎真二投手(阪急)忠治内野手(中日)の156センチ。ドラフト制後では162センチの鎌田圭司内野手(中日)がいた。163センチでは弘田澄男外野手(ロッテ、阪神)がベストナイン2度、ダイヤモンドグラブ賞5度と活躍。168センチの若松(ヤクルト)は通算打率3割1分9厘で「小さな大打者」と呼ばれた。